日本代表は1日、ワールドカップ・アジア最終予選のサウジアラビア戦で2-0の勝利を飾った。出場権獲得に向けて重要だった試合で90分間、ポジション修正を繰り返し、チームを機能させるために力を尽くしたのが守田英正だった。

上写真=高い集中力で攻守に貢献し、クレバーな判断でチームを機能させた守田英正(写真◎JMPA小山真司)

ポジショニングの使い分けができた

 守田は己をよく知り、周りを深く知る選手だ。その上、相手をよく見る選手でもある。日本代表が4-3-3のフォーメーションを採るようになって以降、左のインサイドハーフを務めるが、守田の状況把握能力と観察眼がチームにポジティブな要素をもたらしている。

 前節の中国戦では、試合中に頻繁に内側に入る左ウイングの南野拓実、左のオープンスペースを使うために攻め上がる左サイドバックの長友佑都、そして守田でつくる左サイドの呼吸が合わず「ポジションが重なり、渋滞することもあった」と反省していた。さらに前線に絡み、攻撃に厚みを加えるケースも限られ、インサイドハーフの役割を全うできなかったと悔やんだ。

 今回のサウジアラビア戦ではその二点に心を配っていた。時には右インサイドハーフの田中碧と左右を入れ替わってプレー。流れのなかでバランスを見ながらポジションを替えていたという。右インサイドに回った際には「どちらかと言うと碧のほうが降りたりとか、相手を正面に立たせた上でのビルドアップするのがうまいし、そうやって相手の足を止めてからボールを逃がす作業をするのがうまいので、自分は降りきらずに、(右ウイングの伊東)純也くんが張っていますし、3枚の中ではちょっと高い位置を意識してやっていた」とそのプレー意図を説明。右でプレーする時間が長くなったことについては「左のときは佑都さんを前に上げたいというのがあったし、拓実くんを中に入らせてあげたかったので、タイミングを合わせて下がろうと思ったんですけど、自分がそのタイミングをつかめなかったのか、うまくいかなかったので、碧に言って左と右を替わってもらいました。そこは彼のほうがうまいと思います」と、より良くチームを機能させるための判断だったと明かした。

 この試合では密集の中でピタリと止めるトラップやダイレクトで縦に出すパスなど、その技術の高さを存分に生かしてもいた。この優れた技術がベースにあるからこそ、守田は常に顔を上げてプレーでき、ピッチ全体を見渡すことができる。そうして「見て」得た情報を瞬時に処理して最適なプレーを選択する。サウジアラビアとの重要な一戦でも、そうした守田の特長が出ていた。

「自分がポジションを取りたいところが、味方とかぶったら意味がないですが、味方のカラーを出してあげられないポジショニングがあって、それによってチームが機能しない反省もあった。今回の活動では、自分が取りたいところと味方に取らせてあげるためのポジショニングの使い分けが、少しはできたと思います。あとは前線の選手と遠くならないように前に厚みをかける部分も、以前よりはできていると思う」

 インサイドハーフとしての位置取りも振る舞いもしっかりと向上させている守田。その存在感もチームにおける重要性も、試合のたびに増している。