上写真=伊東純也は中国戦で決めて3戦連発。サウジアラビア相手にも決めてみせる(写真◎JMPA)
「ちょうどいいボールが来ただけです」
「腹が立ちますからね」
伊東純也はサウジアラビア戦を前に、彼らを止めることを宣言する。首位のサウジアラビアにとっては、勝てばワールドカップ出場を決めることのできるゲーム。日本の地でそれを許すつもりはない。
「逆にサウジに勝てばまだ全然わからない状況になるので、勝つことしか考えていないです。ホームでワールドカップ出場を決められたら本当に腹が立ちますからね。そういう気分になるので、それだけはさせたくない」
もちろん、感情だけが理由ではない。日本がワールドカップに出場するために、冷徹に勝ち点3を狙うのが本来の目的だ。
「どちらにしろ勝たないと、ワールドカップへの道はつながらないので、そこだけはしっかり結果にこだわってやりたい」
伊東は現在、最終予選で3試合連続ゴール中。アウェーの中国戦では大迫勇也の決勝ゴールをアシストし、先日のホームの中国戦でも右サイドを深く破ってからのクロスでハンドを誘い、PKをもぎ取って大迫の先制点につなげた。最終予選の全7ゴール中5得点に絡んでいる。
前回のアウェーのサウジアラビア戦、伊東は出場停止だった。0-1で敗れたが、弱点は高いラインの裏にあると見ている。そここそ、伊東の大好物の場所。
「今回は相手にボールを持たれる時間もあると思うので、攻守の切り替えを大事にして、自分たちが持つ時間もそうですけど、相手に持たれているときも背後を狙っていきたい」
俊足を生かすには格好の相手だ。裏を狙う「縦」のムーブを生かしつつ、もう一つのポイントは「横」の動き。
「ここ最近、ゴールを取れているのでいいイメージで試合に入れていますし、常にこぼれ球でもなんでもいいのでゴールを取れる位置に入っていければいいと思っています」
3試合連続で決めているゴールはどれも、左からのボールに対して逆サイドからゴール前に走り込んで決めたもの。先日の中国戦では中山雄太の左からのクロスに、DF2人の間にもぐり込んでヘッドで強烈に決めている。
「逆サイドのクロスに入ることだけは意識していて、雄太にボールが入ったときに自分の目の前のディフェンダーの前に入ろうと思ったら、ちょうどいいボールが来ただけです」
中山の高速クロスの威力を称えた。
ビルドアップのときには「(田中)碧が間で受けやすいように僕と(酒井)宏樹さんで幅を取る」とポジショニングを探り、逆サイドから崩したら一気に「横」のポジションチェンジでゴール前へ。その好リズムが、相手を困惑させている。
「相手は強いけれど、相手が強い方が自分は生きるタイプです。自信を持ってやりたい」
サウジアラビア戦で4試合連続ゴールを決めて、再び勝利のヒーローになる。