上写真=中国戦では85分にピッチに登場した原口元気(写真◎小山真司)
サウジ戦では表現するだけ
「ピッチに立てないのは悔しい」。原口は、率直な思いを口にした。「ピッチに立って貢献するのが一番。オフ・ザ・ピッチで何かしたいというのは正直、選手として違うと思う。ピッチに立っている時間にチームを助けたい。それができていない現状は悔しい。ただ必ず自分の力が必要になる時がくると信じて、常にポジティブにいたいと思います」。
ここまで最終予選で先発したのは、昨年9月のオマーン戦のみだ。前半だ交代し、その後は途中出場が続いている。4-3-3システムをチームが導入した昨年10月のオーストラリア戦では出番なし。その後の3試合は残り時間が5分を切ってから登場し、試合を終わらせるクローザー的な役割を担った。
出番が限られる状況は当然、フラストレーションがたまる。しかし、原口がネガティブな感情を出すことはない。「4年前だったら感情的、ネガティブなパワーで出すことが多かった。出られなかった試合は感情的になるけど、いまは整理して次の試合に向けています」。練習中の姿は誰よりもアグレッシブだ。仲間を叱咤し、練習後も一人坂道ダッシュを繰り返すなど、今回のシリーズではいつにも増して意欲的だ。その姿勢が控え組に好影響を与えているようにも映る。それは自分よりも若い世代の選手が増えたことが影響しているのかもしれない。
「下の世代も多いし、彼らと話をしていても、全員が出たいし、全員が悔しい思いをしている。なるべく練習をポジティブに持っていくことを意識しています」
代表に対する強い思いは、ロシアW杯でもその後のアジアカップでも示してきた。日本を勝たせたいという芯にある思いはきっと何一つ変わっていないだろう。原口は来るべき時に備えて、自分を磨き続けている。
「ホームなので、相手どうこうよりも自分たちがどうか。サウジアラビアに負けてから勝ち続けていて、チームとして方向性や戦う姿勢も良くなっていると思う。表現するだけです。前回の前半は受け身になるシーンもあった。なるべく自分たちの力を出して、主導権を握っていきたい」
最終予選序盤に負けが先行したものの、次第に調子を上げた日本は現在、出場権を得られるグループBの2位に浮上している。次戦は勝ち点4差で追う首位サウジアラビアとのゲーム。ここで勝てば、W杯出場に、さらに前進できる。
極めて大事な一戦へ、原口は意識を集中させている。