上写真=中国戦でCBとして先発フル出場を果たした板倉滉(写真◎小山真司)
中国戦とはまた違う試合になる
板倉滉は中国戦で評価を高めた一人だろう。谷口彰悟とともに2センターバックを組み、無失点勝利に貢献した。高さ強さとともに、ビルドアップでも能力の高さを示した。中盤との関係の中で相手が食いついてこないと見るやボールを持ち上がったり、スペースにポジションをとって相手を動かし、中盤の選手をフリーにしたり。状況を踏まえつつ絶えず細かく動いてボールの循環させていた。
「ただ空いているから持ち出すというより、どこにつけたいから持ち出すと考えてプレーしています。持ち運ぶことで数的優位をつくれる可能性もあるので、臨機応変に相手の状況を見ながらやれれば」。その考えが生かされたのが、まさに中国戦だった。
先制点につながる攻撃にもしっかり関わった。左CBの谷口から右に開いてパスを受けると敵陣内で遠藤航とパス交換。リターンを受けるや前に走り出した遠藤をおとりに使って、内側にいる守田英正に預けて相手の的を外す。そこから遠藤、酒井宏樹とボールが通り、最後はボックス右に入り込んだ伊東純也が上げたクロスが相手の守備者の腕に当たってPKを獲得。これを大迫勇也が決めて、リードを奪った。
今回のシリーズはこれまで代表のレギュラーを務めてきたCB吉田麻也、冨安健洋がケガのために不在だ。誰がその穴を埋めるか注目されたが、板倉と谷口できっちり埋めてみせた。相手が自陣深く構え、日本がボールを握る展開になったこともあって守備機会そのものが数えるほどしかなかったという面を差し引いても、チームにとってその働きは大きなものとなった。実際、森保一監督も板倉について、「日本には良い選手がたくさんいて、これまでの活動の中でも見せてくれていましたが、ヨーロッパでの経験が生きた」と評価した。
昨夏から加入したシャルケでは3バックの中央を務め、守備陣の大黒柱として存在感を示している。昨季はオランダのフローニンヘンでCBとしてクラブのシーズンMVPになる活躍。着実に成長を遂げており、板倉自身も代表でいつ出番が来てもスタンバイはできていた。次戦、負けられないサウジアラビア戦に向けても準備はできている。
「中国戦とはまた違う試合になると思いますし、個々の能力、速さ、強さも変わってくる。より一層、相手より早く準備しないといけないし、自信を持ってプレーしたい」
望まれるのは吉田、冨安の穴を埋めるだけではなく、その座を奪うほどの活躍だろう。そうなることがすなわち層を拡充し、日本代表がレベルアップすることにもつながっていく。