カタール・ワールドカップ最終予選に臨む日本代表は、吉田麻也と冨安健洋のレギュラーセンターバックが2人とも負傷で欠場することになった。そんな緊急事態に、代わって守り抜くのは誰か。板倉滉は「勝たせられる選手に」と強く意気込む。

上写真=板倉滉ははっきりとした口調と穏やかな笑顔で、勝負に挑む心境を明かした(写真◎スクリーンショット)

「プレーどうこうではなくて勝てばいい」

 緊急事態である。

 吉田麻也と冨安健洋と、レギュラーセンターバックが揃って負傷で欠場するのだ。ワールドカップ最終予選の重要な局面となる第7戦の中国戦、第8戦のサウジアラビア戦は、日本にとってホームゲームではあるものの、まったく予断を許さない連戦になる。

 グループ2位に立つとはいえ、全10戦で残りは4試合あるから何が起こるかわからない。ホーム連戦でダブルを決めて勝ち点6を手にしなければならないが、そこで両センターバックを欠くとなれば、緊張感は高まっていく。

「2人が不在という中で、しっかり勝ち切ることが大事だと思うし、チームの勝利のことしか考えていないです」

 きっぱりと言い切るのは板倉滉だ。2人に代わってセンターバックを務める候補のうちの1人。ほかに谷口彰悟、植田直通、中谷進之介がいる。

「もちろん自分がやってやるという気持ちでこの代表活動に来ています。でも、試合が終わったあとに勝ち点3を取っていることが何より大事なことだと思います」

 では、どうやって勝ち点3に貢献するのか。

「自分の良さとしては、まずは1対1で負けないところです。そして、後ろからサッカーを作っていくのが特徴です。もちろん持っているものをすべて出すつもりだし、でもとにかく、プレーどうこうではなくて勝てばいい。そこだけですね」

 不恰好でもなんでも構わない。勝ち点3こそ価値があるという揺るぎない意志。

 もう一つ、チームを救うかもしれない武器がセットプレーからの得点だ。昨年3月、U-24日本代表の一員として臨んだU-24アルゼンチン代表とのテストマッチで、左CKからヘッドで豪快に2ゴールを奪っている。

「常に狙っていますから、点が取れたら最高ですね」

 その2発を導いたキッカー、久保建英も今回のメンバーに選ばれている。

 ただ、板倉自身は日本代表に選ばれながら、最終予選の出場はまだない。

「また勝負だな、と思って毎回来ています。日本代表に来ることができるのは光栄なことだし、でも結果を残さないと次はないという場所でもあります。ワールドカップがかかった試合の活動に来ることができているので、日本を背負っていいプレーをしなければいけないと思います……いや、いいプレーというよりは、勝ちにつながるプレーを意識したいと思います」

「いいプレー」をわざわざ「勝ちにつながるプレー」に言い直すところに、本気が見える。

「ケガ人が出たこともありますけれど、チャンスが来たときに勝たせられる選手になりたい、ではなく、ならなくてはいけないと思っています」

 その言葉をピッチで証明するときが近づいている。