日本代表候補の国内キャンプに参加している山根視来。2021年はワールドカップ最終予選で11月のアウェー連戦にフル出場を果たして、連勝の礎となった。負ければ最悪の状況に転がり落ちるところで踏ん張った経験を経て、改めて芽生えた危機意識がある。

上写真=山根視来(左)が中谷進之介とコミュニケーション。昨年11月シリーズの活躍で存在感を増している(写真◎山口高明)

「誰と組んでも力を発揮しなければ」

 山根視来は、自分の「立ち位置」を冷静に見る。ピッチの中でも、外でも。

「代表には去年入ったばかりのチャレンジャーですからね。できることを精いっぱい表現することが一番大事で、全力で取り組むだけです」

 2021年3月の韓国とのテストマッチで日本代表デビューしたばかりだが、ワールドカップ最終予選の正念場、11月のベトナムとオマーンとのアウェー連戦では連続フル出場を果たした。負ければワールドカップ出場権獲得に暗雲が立ち込める苦しい状況の中、しっかりとプレーしてどちらも1-0の勝利に貢献した。

 それが大きな自信になっているか、と言えば、その経験が体を通ったことでなおさら、「もっともっとやらなければいけなかった」と危機感は増すばかりだという。

 ピッチの中の「立ち位置」で言えば、持ち味は攻撃への関与だ。川崎フロンターレでは2021シーズンに2得点をあげたほか、アシストの12はリーグトップ。周囲との関係を生かしながら中に外にとポジションを自在に変えて深い場所まで入り込み、チャンスをつくっていく。

 ただ、それがそのまま日本代表に組み込めるかと言えば話は違う。例えば11月シリーズでは同じサイドの中盤には快足の伊東純也がいて、見事な単独突破から一人で決めきる能力の持ち主だ。

「誰と組んでも力を発揮しなければいけないのが代表だと思います。密にコミュニケーションを取って、このタイミングで出してほしい、とか、ここでなら出せる、といったような会話をもっと練習や試合の中で増やさなければいけないと思います」

 守田英正や田中碧といった、川崎Fでともに戦った仲間が日本代表で中軸を担うようになったことは追い風になりそうだ。右サイドバックは酒井宏樹、室屋成のほかに、所属チームでプレーする冨安健洋もいて、人材豊富だ。自分の特徴を生かすことを最優先に、競争に挑んでいく。

「相手を見ながらプレーするところだと思います。外に回るべきか中を取るべきか。そういう判断力を持っています。フィニッシュに絡む数字を残すことにもこだわっているので、そこで勝負したいと思います」

 そんな狙いを深く理解してくれる守田や田中の存在は、やはり大きいだろう。

 2022年はワールドカップイヤー。川崎Fでも日本代表でも重要なシーズンになる。

「毎年、変わらないけれど、自分が成長できるようにしていきたいですし、攻撃も守備ももっとできるようになりたい。J1で3連覇もACLの優勝も、日本代表でも結果を残したい思いだけです。目の前のことに全力で向かっていって、いまできないこともできるように頑張っていきたい」

 頼もしい欲張りだ。