カタール・ワールドカップを目指す日本代表がアジア最終予選を戦っている。11月11日に第5戦のベトナム戦に1-0で勝利を収めたが、今回初めて日本代表入りした旗手怜央はベンチからも外れた。だからこそ、試合に出たい熱が湧き上がる。練習に加わって、試合を見て感じたのは「自分らしさ」の再確認だった。

上写真=旗手怜央は残念ながらベトナム戦はベンチ外。「国を背負って戦うのは素晴らしいこと」と出場へ意欲を燃やす(写真◎スクリーンショット)

「前に運べるときは運ぶ」

 初めての日本代表。旗手怜央は「責任あっての楽しさ」とその実感を言葉にする。

「試合の雰囲気はまったくいつもの試合と違いましたし、見ている自分も緊張していていつもと違う感じになりました」

 それがワールドカップ最終予選である。だからこそ余計に、「試合に出たい」と熱を隠さない。そもそもが、情熱をそのままぶつけてピッチで全力で戦い抜くキャラクターである。一緒に初代表で選ばれた三笘薫はベンチ入りしたし、川崎フロンターレのチームメート、山根視来も、以前のチームメートである守田英正、田中碧も先発出場した。でも、旗手はベンチにすら入れなかった。

 今回の最終予選に臨むメンバーが発表されたとき、DFとして名前が入っていたために、今季途中までプレーした左サイドバックでプレーする可能性を指摘された。だが、現在の川崎Fではインサイドハーフ。ベトナム戦も「インサイドハーフは意識して見ていました」と守田や田中へ熱視線を注いでいた。

 日本代表が採用してまだたったの2試合目、今回も試合前日しか全員が揃って練習できていない4-3-3システムは、当然川崎Fで練り上げてきたものとは異なる。それに、川崎Fでも鬼木達監督はそもそも選手の特徴を最大限に発揮するためにこのシステムに挑戦したことを明かしている。同じ4-3-3でも、選手の個性によって強みとなるところも変わってくるわけだ。当然のことだが、旗手もそれを感じている。

「フロンターレの4-3-3をそのまま落とし込めるとは思っていないし、一緒のことができるとは思っていないです」と織り込み済み。だからこそ、大事なのは自分ということになる。

「その中で、自分自身のプレーを出すことはできると思うので、そこをリンクさせて見ていました」

 その具体的な内容は? 「昨日の試合を見て自分が言うことはないですけど」と前置きしてから、もし出場したら、のイメージを明かす。

「僕が普段から意識しているのは、前に運べるときは運ぶ、ターンできるときはターンする、という、ゴールに向かうプレーです。ボールホルダーにどうサポートするか、追い越すのか横につくのかも意識しています。僕が出たら、日ごろやっているプレーを出せるような状況を作っていきたいと思います」

 最終予選を勝ち抜くには次のオマーン戦でも勝利が強く求められ、しかも初戦にホームで土をつけられた相手だから、リベンジへの意地もある。勝利への執念が試される一戦ではしかし、4-3-3システムの中心である守田が出場停止だ。その熱さはすでに日本代表級の旗手に、いきなりチャンスが巡ってくるかもしれない。