上写真=長時間のフライトにも疲れを見せず、取材に応じた吉田麻也(写真◎スクリーンショット)
トラブルのため、24時間機内で過ごす
欧州組の11人が集まり、オランダのアムステルダムからベトナムに向けて飛び立ったチャーター機は、経由地(給油地)のロシアで飛行機にトラブルがあり、10時間近く足止めされることになった。
7日にサンプドリアでボローニャ戦にフル出場。試合後にジェノバからミラノに移動し、そこで1泊。翌朝、アムステルダムに移動し、欧州組11人が集合するのを待ってベトナムに向かった。
「1回、(外に)出たいと言ってんですけど、ビザがないから降りられないということで、機内にいました」
足止めされたロシアで空港に降り立つことが許されず、機内で過ごすことになった。ストレッチなどで体をほぐしてはいたが、さすがに疲労はあるだろう。それでも吉田キャプテンは「代表選手がパッと集まって、隔離もある中で短い時間の練習しかできなくて、試合という状態が続いていたので、しっかり話できる機会もなかった。ある意味で、いい機会になったかなと思いますし、こういう経験はしておいたほうがのちのち、役に立つと思うのでよかったんじゃないかな」と、ハプニングをポジティブに受け止めた。
ポジティブに臨まなくてはいけない理由がある。アジア最終予選では、9月の連戦も10月の連戦も初戦を落とした(オマーン戦、サウジアラビア戦)。その結果、望みどおりに勝ち点を積み上げることができず、日本はグループBの4位に甘んじている。目の前に迫ったベトナム戦は勝利が必須。ネガティブな要素を排し、ただ結果を出すために集中しなくてはいけない。
「外部からの影響だったり、環境の変化だったり、というのはいったん遮断して、自分たちのやるべきことに集中して、まずはこのベトナム戦に勝利することが一番のテーマ。この経験、アクシデントも明日勝つことでいい経験になったと思えるし、数年後に笑って話せると思うので、とにもかくにも明日、勝たないと始まらない。試合に集中して、あまり外部のことに気を散らさないように。ピッチ内でも色んなことが起こり得ると思うので、精神的な準備が求められると思っています」
9月のオマーン戦は試合に入りに失敗し、リズムをつかめぬまま敗れた。10月のサウジアラビア戦はバックパスのミスにつけ込まれて敗戦。2試合に共通するのは後ろ向きな意識だったかもしれない。「とくにオマーン戦なんか、慎重になりすぎて、ボールが前にいかなかった。ファーストタッチが後ろを向いていた。プレーの選択が横パス、後ろのパスになった。それが相手に勢いを持たしてしまった、一番の要因だと思う」。受け身にならずに、能動的に、主体的に戦う。同じミスでもトライしてのミスは問題ないとも吉田は強調した。
長時間フライトによる影響も懸念されるため、吉田が先発するかどうかは分からないが、吉田が繰り返し話した通り、初戦を落とす嫌な流れをしっかり断つ意味でもベトナム戦は極めて重要だ。「とにもかくにも勝たないと始まらない」。