11月4日に発表された日本代表メンバー27人に入ったFC東京の長友佑都。9月から始まったカタール・ワールドカップアジア地区最終予選で4試合すべてに出場しているが、2勝2敗と苦しい。いまこそ、オーストラリアに勝った勢いを、情熱的にかつ冷徹にピッチにぶつけていく。

上写真=長友佑都は最終予選4試合すべてに出場中。勝負のアウェー連戦に挑んでいく(写真◎小山真司)

「コンディションの管理が一番難しい」

 日本代表は現地時間の11月11日にベトナムと、16日日にオマーンと戦う。いずれもアウェーゲーム。この連戦に挑む27人の日本代表の一人が、FC東京の長友佑都だ。

 2試合合わせて勝ち点6をもぎ取らなければならない重要な中盤戦。どちらも大事だが、特に注目されるのがオマーン戦だろう。最終予選の初戦となった9月2日のホームゲームでまさかの敗戦。0-1で最悪の黒星スタートとなった。そのリベンジを果たさなければならない。

「1回負けているので、自分たちがここまでアジアで高いレベルで戦ってきたプライドもあるし、日本代表としてのプライドもあるから、2回連続で負けるというのは考えられない。強い気持ちを持って、自分たちが代表であるというプライドを持って絶対勝ちたい」

 自らを熱く鼓舞する一方で、アウェーゲームだからしっかりと状況を見極める必要がある。

「その気持ちプラス、冷静な判断が必要になってくるから、そこは両方兼ね備えてやっていきたい」

 冷徹さが勝負を分けることもある。熱く冷たく。

 ベトナムとは今予選で初対戦だが、2019年1月にアジアカップ準々決勝で対戦していて、なんとか1-0で逃げ切っている。ベトナムはこの最終予選では4連敗中だが、長友は警戒を解かない。

「以前、アジアカップで試合をして結構強くて厳しい試合になったから、ベトナムがまだ勝ち点を取れていないというところに驚きがある。そう思うくらい、アジアカップで対戦したときは強かった」

 連戦のポイントは2つある。まずはコンディション。移動を含むアウェー連戦だから、慎重に整える必要がある。

「気候、時差、環境ですね。向こうに行ってから長い期間で準備ができるわけではない。短期間で準備をして試合に臨むというところで、コンディションの管理が一番難しい」

 もう一つは、オーストラリア戦で採用して成果を見せた4-3-3システムだ。この2試合でどんな布陣を選択するか決まっていないと森保一監督は明かすが、せっかく得た勢いを放り投げることはできないだろう。長友は新しい戦いをどうやってピッチで表現するつもりなのか。

「守備の連動性を持たせるところ。サイドだったら、相手に前線からプレッシャーをかけているときにサイドバックが高い位置までいくのかどうか。その場合は全員のスライドが必要になるし、難しい場面では出ていかない、とか、そういう判断や細かいところの修正をしっかりとしていきたいかなと。攻撃はある程度見えた部分があるので、その守備のところの連動をもう少し高めたいなと思っています」

 オーストラリア戦では田中碧が先制しながら70分に同点とされている。長友が高い位置まで奪いに出たものの、全体のスライドが間に合わずに裏に通されてから中央に運ばれ、守田英正がなんとか戻ったがFKを与えてしまい、直接決められたものだった。試合直後からこの場面の連動について反省は口にしていたから、ようやくそれを実際に練習や試合で調整することができる。

 そして、アウェー連戦を連勝で終えてFC東京に戻り、その経験を還元する役割も求められる。

「東京に戻ってきたときから言っているように、まずは『勝ちたい』という確固たる強い気持ちを持つところが大事だと思うし、そのために練習から質の高い厳しいトレーニングをしていかないといけない。厳しさや勝ちたい気持ち、モチベーション高く、日々小平の練習場で発揮できるように、というところを伝えていきたい」