日本代表のMF守田英正がオーストラリア戦を前に取材に応じた。サウジアラビア戦ではチームが失点した後に疲れの見える柴崎岳に代わって登場。時間が短く、同点にすることはできなかったが、次戦、出番があればゲームコントロールの部分で役割を果たしたいと話した。そのために重要なのは「立ち位置」の共通理解だ。

上写真=サウジアラビア戦で守田英正は73分から柴崎に代わってプレーした(写真◎JFA)

足りない「ここにいるからこうなる」という理論

 オーストラリア戦を前に取材に応じた守田は、9日にオンライン取材に応じた冨安と同様の指摘をした。それはすなわち、立ち位置に関する共通理解の欠如である。

 ビルドアップがままならず、ボールを保持できなかったサウジアラビア戦を振り返りながら、保持率を上げるために必要なポイントを指摘した。

「立ち位置かなって思います。それだけではないのですが、見ていなくても、ここに人がいる状況とか、ここにいるから、こうなるよねっていう理論がいま少し欠けているかなと。選手の特徴もあるので、特徴を生かしてあげるようなポジショニング、サポートがありますが、サイドが幅取れていないとか、中に入りすぎとか、そこのスペースが使えていないとか。そこを無くせば、厚みのある攻撃、失った後もいい距離で守備もできる。まだそこは話し合いができていないですけど、話せば、すぐに改善できると思う。声を掛けていきたい」

 相手の陣形を見極め、日本の陣形とのかみ合わせを踏まえてプレーすることは当たり前のことだ。だが、サウジアラビア戦では、選手間でその認識にズレが生じているように映った。どこに立つべきか、ボールをどう動かしていくべきかという問いの正しい答えを共有できていなかった。そのことで日本は劣勢になった。守田の言葉はそのことを裏付ける。

 プレーの前提となる立ち位置について整理されていない選手がピッチにいる場合、パス回しが滞るのは当然だ。そのシワ寄せがそこかしこに現れ始めたのが、サウジアラビア戦の後半だろう。相手の圧力が増したこともあるが、立ち位置が悪いために日本はますます余裕がなくなり、ミスが頻発した。

 川崎F時代から相手を見てサッカーすることを磨いてきた守田は、サウジ戦についてさらに説明した。「考え方は分かれると思いますが」と前置きして、自身の考えを口にしている。

「守備の追い方が悪くて、間延びした中で奪えても距離感が悪く、つなげずにボールをロストすることもあるし、ビルドアップで人の配置が悪いこともあると思います。以前のサウジ戦でボールを握られたので、(今回も)保持されても仕方ないという考え方で試合を進めていったのもあると思う。そうだとしたら、もっと割り切ってブロックを敷くとか、出て行くなら、チーム全体で押し上げて、前に推進力を持って奪いにいくとか、守備を明確にできれば、落ち着かせることも距離感がいいのでできたのではないかと思います。あくまでボールを握ることにフォーカスして、そこでまずは負けないこと。自信を持ってやることを考えると、配置の部分、立ち位置がオーガナイズされてもいいというか、突き詰めないといけない」

 サウジアラビア戦の柴崎岳の出来や、守田自身が終盤に交代出場したことを考えると、次戦のオーストラリア戦では守田、あるいは田中碧が先発する可能性は高い。

「難しい状況だし、正直あとがないと言っていいほど。序盤戦で2敗もしてしまって、僕たちはやることをやるしかない。ある意味で開き直ってやるしかない。自分のアプローチにしてはゲームコントロールのところ、試合に出ることを想定しながら周りの選手に、僕の特長を生かせるように、周りを生かせるように言っていくことだと思います。あまり大きく変える必要はないと思うので、もともと持っているものはすごいけど、100パーセント発揮できていない。相手というより自分たち。頑張りたいと思います」

 守田は「話せばすぐに改善できる」と言った。負けられないオーストラリア戦まで時間はないが、すり合わせが進み、ビルドアップが改善されることが期待される。