カタール・ワールドカップのアジア地区最終予選で、日本は2敗と苦しんでいる。脱却へ向けてはブレイクスルーへのパワーが必要だが、それをオナイウ阿道が持っている。2敗目を喫したサウジアラビア戦では73分から出場してゴールに迫った。その勢いを、オーストラリアにぶつけるつもりだ。

上写真=オナイウ阿道はサウジアラビア戦では73分にピッチへ。ゴールに力強く迫った(写真◎JFA)

2トップは「ボックス内に人数を多くかけられる形」

「短い時間でも結果を残さなければいけないのがフォワードです」

 オナイウ阿道はストライカーとしての本懐をそう話す。だから、サウジアラビア戦では仕事を全うできなかった、という反省だ。73分、鎌田大地に代わって入り、最前線で大迫勇也と並ぶようなポジション取りでゴールを目指した。

 失点したのはピッチに入る直前の71分だったから、役割はより明確になった。ゴール。

 2トップ気味の布陣をトレーニングで落とし込んだわけではなかったというから、いわばスクランブルでの起用だった。しかし「個人としてもチームとしても意識を合わせられるチーム」の自負がある。「自分たちがボールを握って攻撃の回数を増やすことと、ゴール前でサコくん(大迫)といいポジションを取りながらシュートすること」を意識して迫った。

 76分に守田英正の縦パスを引き出してワンタッチで落とし、大迫がさらに前に送って古橋亨梧を走らせ、89分には左からの長友佑都の折り返しに右足で狙った。ゴールへの道筋を作るために奔走し続けた。しかし、最後までゴールは遠かった。

 3試合で1得点。得点力不足に悩む現状にあって、サウジアラビア戦の2トップのイメージは「ボックス内に人数を多くかけられる形になるので、そこに持っていくまでに起点になって、裏を取る選手と引き出す選手のバランスを考えて、フォワードともう一人がボックスに入ればチャンスになると思います」。それを次の試合でどれだけピッチで具現化できるか。

 相手はフィジカルバトルに長けているオーストラリアだ。だからこそ、強さもしなやかさも持っていて、トゥールーズで主力としてフランス2部リーグでもまれるオナイウへの期待も高まる。

「相手ボックス内に入るシーンが多くなくて、シュートで終われそうなところもやりきれないことがあります。チャンスの回数を増やせるかが大事だと思いますし、ミスをしないで奪ったボールを良い攻撃につなげられるようにもっとできると思います。選手はみんな分かっていますので、責任を持ってやりたいと思います」

 古橋亨梧とともに、ヨーロッパに渡ったばかりにもかかわらずいきなり活躍して勢いのあるストライカー。チャンスは必ず巡ってくるはずだ。