日本代表は現地7日、FIFAワールドカップ・アジア最終予選の第3節、サウジアラビア戦に臨んだ。完全アウェーの中、組織立った守備で前半は互角の戦いを演じたが、後半にミスから失点。0-1で敗れ、上位との差を詰めることはできず、逆に開くことになってしまった。

上写真=大迫勇也の惜しいシュートもあったが、日本は0-1で敗れた(写真◎JFA)

■2021年9月7日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選(@キングアブドゥラー・スポーツシティスタジアム)
サウジアラビア 1ー0 日本
得点:(サ)フェラス・アルブリカン(71分)

追い込まれた日本、3戦終えて勝ち点3

 最終予選の最初のヤマ場と言っていい、アウェーのサウジアラビア戦。日本は伊東純也が出場停止で、久保建英が負傷により不在のため、中国戦とは2列目のメンバーを入れ替えて試合に臨んだ。右サイドハーフには浅野、トップ下に鎌田、そして負傷で9月シリーズを欠場した南野を左に据えた。

 前半は予想通り、相手にボールを持たれる展開となる。ただ、その中でも柴崎の無回転ミドルや浅野の飛び出しから南野のヘッドにつなげるなど、チャンスをつかんだ。引きすぎることなく、組織立った守備でサウジアラビアの攻撃を跳ね返し、攻撃機会をうかがっていった。

 29分には相手のパスをカットしてカウンターに転じ、鎌田のスルーパスからCBの間でボールを受けた大迫がシュートを放った。相手GKアルオワイスの好守に阻まれたが、日本にとっては前半、最大のチャンスだった。37分にも酒井の右クロスに大迫が飛び込み、あわやのシーンを生み出した。

 一方でサウジアラビアも12分にFKからマードゥがヘッドで狙うなどゴールに迫る。ただこれはシュートが正面を突き、日本は事なきを得た。

 前半は0-0で終了。ボールは持たれたものの、日本はゴール前をしっかり締めて、相手の攻撃を跳ね返し、残り45分に勝負をかけることになった。迎えた後半、最初のチャンスはサウジアラビアに訪れる。50分に柴崎がアルシェハリボールを奪われ、最後はボックス内からガリーブにシュートを許した。

 絶体絶命のピンチだったが、権田が左足一本でセーブ。何とか防いでみせたものの、5万を超える観衆の声援のバックに攻めるサウジアラビアの勢いに日本は劣勢となった。59分に動きの少なくなった南野に代えて古橋、浅野に代えて原口を投入。相手の勢いを削ぎ、逆に押し返すことを狙った。しかし、日本の目論見はミスにより崩れてしまう。

 ビルドアップの局面で原口から戻されたボールを右サイドで柴崎が拾った。だが、アルファラジのチェックを受けて吉田へのバックパスを選択。これが乱れてアルブリカンに拾われ、独走を許すことになった。そのままボックス内に持ち込まれると、シュートを打たれて、失点。最後は権田の股の間を抜かれた。

 それまでもボールの経由地として相手に狙われた柴崎はたびたびボールをロストしていた。そしてこの場面では吉田との呼吸が合わず、パスがズレて失点につながった。アウェーの地で絶対にやってはいけないミスを日本はやってしまった。

 直後、日本は柴崎に代えて守田、鎌田に代えてオナイウをピッチに送ったが、ゴールは遠いまま。ミスを取り返すことはできず、痛すぎる敗戦を喫することになった。

「選手たちは完全アウェーの中でも非常に素晴らしいファイトをしてくれたと思います。しかしながら厳しい結果になってしまったのは残念なところです。(失点場面)選手たちが全力で戦っている中、後半少し疲労が見えてきたところで合わなかったシーンが失点となってしまった。(次戦へ向けて)結果は厳しいものとなっていますが、W杯出場向けて、まだまだ諦めなければ必ずW杯に行ける、切符がつかみ取れると思っています」

 森保一監督はそう試合を振り返った。総じて守備は整備され、よく耐えていた。ただ、ボールを奪ったあとのつなぎの部分でズレが生じることも多く、ロストして劣勢となる場面が散見した。ボランチに入ったあとの展開で、周囲の立ち位置、そもそもボランチの受ける場所、サポート意識と選手間の距離という、9月シリーズで見られた課題は改善されていなかった。相手のプレッシャーを逃す方法、すなわちビルドアップを改善しなければ、同じ結果を繰り返すことになりかねない。

 3試合を終えて日本が手にしたのは、勝ち点3。上位とのポイント差はさらに開くことになった。次戦は12日、ホームでオーストラリアと対戦する。W杯出場に向けて、絶対に負けられない試合になった。