日本代表は日本時間の7日深夜、ワールドカップアジア最終予選で中国と対戦し、1-0で勝利を飾った。初戦を落としていただけに絶対に負けられない一戦だったが、プレッシャーに打ち勝ち、アグレッシブに戦って勝ち点3を積んだ。なぜチームは本来の姿を見せることができたのか。吉田麻也キャプテンが語った。

上写真=集中したプレーでチームをまとめた吉田麻也(写真◎Getty Images)

次の10月シリーズが前半戦のカギ

 日本は中国を1-0で破り、勝ち点3を手に入れた。スコア上は辛勝と映るが、日本がゲームを支配してつかんだ勝利だった。初戦を落としていただけに、その価値は大きい。9月シリーズを1勝1敗で終えたことについて聞かれた吉田キャプテンは「もちろん満足できる結果ではなかったですけど、きょう勝ち点3を取って何とか次につなげることができたと思っています」と最低限の目標をクリアしたと話した。

「やっぱり今日みたいな精神的な準備で試合に臨まなければいけないし、この精神的な状態がスタンダードにならないといけない。内容に関しては、手放しで喜べるものではなかったかもしれないですけど、これが最終予選だと思いますし、とにもかくにも勝ち点3が取れたことが一番大きいと思います」

 最終予選の初戦となったオマーン戦は、メンタル面の準備が十分ではなかった。一つには海外組が多い中、9月に国内で行なわれる試合であるという難しさがあった。

「毎回、9月のシリーズは非常に難しい。ヨーロッパに行って、わりと早い段階でまた日本に帰ってきて、ヨーロッパは涼しくなっている国が多い中で暑い日本に帰ってくることになる。それとプレシーズンで自チームのサッカーを落とし込んだあとに、代表に帰ってきて代表の形に合わせないといけないということもある。簡単じゃないと思うんですけど、ただそれにしても精神的な準備が足りていなかったというのは正直、思います。そこは不足していたし、大きな反省材料であったことは間違いない」

 敗戦を受け止め、選手の意識が変わった。カタール到着後の練習でも変化が見て取れたという。選手たちも話し合って意識をすり合わせた。「1試合目が終わったあとに誰もが不十分だったと認識していたと思いますけど、なぜこの最終予選が大切なのかということをもう一度、再確認しなければいけなかった。本来、1試合目の前にそれをすべきだったんですけど、そこは僕自身もミスがあったと認めざるを得ないですし、もう1回、カタールに来て、そこを再確認しました」。

 果たして日本は、無失点勝利を成し遂げた。1ゴールしか奪えず、追加点を挙げられずに「手放しで喜べない」と吉田は言ったが、しっかり「次につなげる」ことができた。

 10月シリーズでは敵地でサウジアラビアと、ホームでオーストラリアと対戦する。この2チームは9月シリーズで連勝を飾り、勝ち点を6に伸ばしている。一方で日本は勝ち点3で、4位。

「前にも言いましたけど、次の10月シリーズは(最終予選の)前半戦のカギだと思います。サウジもオーストラリアも勝ち点6を取っていて、僕らが3なので、この二つを叩ければ、同率で首位に並べるチャンスがある。こんなに早く自分たちで取り戻せるチャンスが目の前に来るので、またモチベーション高くやらなきゃいけないと思っています」

 初戦で失ったポイントを自らの力で取り戻すチャンスだ。逆に言えば、そこでポイントを失うようなことになると、大きく後退してしまう。だからこそ「前半戦のカギ」。最終予選に臨む覚悟を共有したチームは、過ちを繰り返さず、勝ち点を積むことができるか。

「毎回、こういう気持ちでこの代表に全員が挑まなければいけない。僕自身ももちろんそうですけど、やっぱり代表でのキャリアというのは非常に短くて、一瞬一瞬を大切に過ごさないといけないし、プレーしないといけないと思います」

 すべてを懸けて臨むのが、最終予選。キャプテンは中国戦に勝利を収めた直後に、最初の山場となる10月シリーズを見据えた。