日本代表は現地7日(日本時間8日)、ワールドカップ・アジア最終予選の中国戦に臨み、勝利を飾った。相手の分厚い守備ブロックを突破し、ネットを揺らしたのは大迫勇也。前半に大迫が記録した1点が値千金の決勝ゴールになった。

上写真=決勝点を挙げた大迫勇也が全身で喜びを表現し、チームを鼓舞する(写真◎Getty Images)

■2021年9月7日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選(@ハリファ・インターナショナルスタジアム)
中国 0ー1 日本
得点:(日)大迫勇也

危機感を持てるように考えた

 前半40分だった。右サイドで伊東純也が仕掛けた同時に、ゴール前のスペースに走り出し、折り返しを呼び込んで見事に合わせた。伸ばした右足でボールに触り、軌道を変えてゴール左へ。ストライカーの面目躍如。結果的に大迫が挙げたこのゴールがチーム唯一の得点にして、決勝点になった。

 大迫自身、中国戦に強い思いで臨んでいたと明かす。初戦のオマーン戦では相手の厳しいマークとコンディション面の問題から本来のプレーを出せなかった。「初戦は不甲斐ない試合をしました。僕たちはもう1回、最終予選がどういう試合になのか、本当に相当な覚悟は必要だと全員で話し合った。それが今日の試合に生きたんじゃないかと思います」。プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出され、臨んだ試合直後の会見で語った。

 また、前回の最終予選を知る大迫は、初戦を落としたあとで迎える中国戦に向けて「雰囲気づくりをした」と明かした。「本当に後がない試合で、目を覚まさなければいけない状況だったので、そこを意識しました」「初戦はフワッと入ってしまった。2戦目に懸けて、しっかり危機感を持てるようには考えました」。大迫が望んだとおり、チームは積極性を取り戻し、前向きなプレーも見られるようになった。むろん、相手が引いて守ったために、日本が容易にボールを持てたという面はあるが、球際の激しさや攻守の切り替えの早さはオマーン戦とは見違えていた。大迫自身も1トップとして存在感を示し、決定的な仕事をやってのけた。

 吉田麻也キャプテンも「相手に引いて守られると厳しいが、その中で決め切ってくれる選手が前にいると心強い」と、大迫のプレーとゴールを称えた。
 
「今回の勝利は次につながる」とも大迫は言った。そして10月に対戦するのは、ともに連勝しているサウジアラビアとオーストラリア。ここで2勝すれば、日本は勝ち星で首位に並ぶ可能性が出てくる。つまりは自力で初戦の敗戦を取り返せる。

「最終予選の厳しさは初戦で分かったと思うし、これからさらに勝ち点を積み上げていきたい」

 中国戦の勝利をより価値のあるものにするには、10月シリーズの結果が重要になる。そのためにも大迫は「神戸に帰って、危機感を持ちながら自分のプレーを出していきたい」と、まずは所属クラブで力を示すと語った。