日本代表DF吉田麻也が、2大会連続となる最終予選黒星スタートへの強い危機感を示した。ホームでいいところなく敗れ、次戦も過酷なアウェーゲーム。前回同様の巻き返しに向けて、厳しい表情でコメントしている。

上写真=またしてもホームでの最終予選初戦で敗戦。吉田は懸命に最終ラインを引っ張ったが、試合終了間際に痛恨の失点を喫した(写真◎JMPA早浪章弘)

■2021年9月2日 ワールドカップ最終予選第1戦(@大阪・吹田/観衆4,853人)
日本 0-1 オマーン
得点者:(オ)アルサビ

「早く良い状況に戻さなければ」

「前回同様、苦しい状況に追い込まれてしまったことは間違いないですし、もう勝つしかない。また、ここから苦しい状況で戦っていかなければいけない」

 日本のキャプテンが、厳しい現実を直視するように語った。2016年9月、ロシア・ワールドカップ(W杯)最終予選の初戦で、UAEにホームで1-2の逆転負け。何とか予選突破は果たしたものの、ホームでの初戦の重要性は十分に分かっているはずだったが、同じ轍を踏んでオマーンに屈した。

 苦戦の要因について「一つは、相手のコンディションが良かったと思います。通常よりも長く合宿をして、というのはあると思いますけど、それは言い訳にできない」とコメント。さらに「もう一つは、クリエイティビティー(創造性、独創性)が欠如していたと思います。疲労からなのか、移動や時差の疲れがあったのかは分からないですけど、いつものようなテンポでボールを回すことができなかった」と指摘した。

 雨が断続的に降り続き、ピッチコンディションが良くなかったことについては「ボールが走らなかったということは、もしかしたらあるかもしれないですけど、後半は特に、そんなに影響はなかったので」と、やはり言い訳にはならないとの考え。それよりも「強度が足りなかったし、クリエイティビティーが足りなかったし、奪われ方も悪かった。毎回毎回カウンターを食らってしまって、自陣の深いところまで押し込まれ、そこから前に行かなければいけない状況を作られた」という低調な内容が、敗戦の主要因だと断じた。

 一度はPKと判定されたシーンがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入で取り消され、そのほかのピンチもしのいでいたが、88分に日本の左サイドを崩されて決勝点を奪われた。「サイドで打開されてしまって、簡単にクロスを上げさせてしまった。僕自身のポジションも、もっとニアを消すポジションを取るべきだったし、中のマークのつき方も良くなかった」と振り返り、「大きなミスというよりも、細かいミスの重なり。ディフェンスライン全体のミス。こういう焦れるような試合は、後ろがゼロで抑えることが重要。ホームで失点せず、勝ち点1の状態をキープするのは最低限。それが果たせず、非常にフラストレーションが溜まる試合だった」と厳しい表情で語った。

 欧州での約1カ月間の長期合宿を経て来日し、コンディションと連係の良さが感じられたオマーンに対し、日本は多くの選手が週明けに欧州から帰国しており、練習時間もわずかで、試合が進むにつれて疲労の色が濃くなった。難しい状況は今後も続くはずだが、「日本に帰ってきて、コンディションが悪いとか、時差があるとか、相手はコンディションが良いとかは言い訳にならない」とあらためて強調し、「ここに来ているからには、そういう状況の中で結果を出していくのが、僕たちに課されている使命。結果で示すしかないと思う。自分も率先して、パフォーマンスで示していかなければいけない」と、自らにも矢印を向けた。

 9月7日の第2戦は、カタールで開催される中国とのアウェーゲーム。中国は現地時間2日のオーストラリアとの初戦(オーストラリアのホームゲーム)もカタール開催で(オーストラリア、中国とも自国でホーム初戦を開催できず、カタールで開催するため)、移動の負担がない。日本は長距離移動を経て、過酷なアウェーゲームに挑臨まなければならない。吉田は「早くここから巻き返して、良い状態に戻して、勝ちを積み上げなければいけない。次の中国戦もすぐに来るし、10月、11月も待ってはくれない」と、自らに言い聞かせるように決意を語った。