カタール・ワールドカップへ向けて、いよいよアジア地区最終予選がスタートする。ただでさえ、何が起こるか分からない最終予選だが、コロナ禍における戦いという難しさも加わって、いかに確実に勝ち点を積み上げられるかが勝負になる。酒井宏樹は前回の経験を生かして、より引き締めていく。

上写真=酒井宏樹は東京オリンピックにもオーバーエイジで出場し、チームを支えた。ここからはワールドカップ最終予選に集中する(写真◎Getty Images)

勝ち点3をスイッチに

 9月2日からカタール・ワールドカップアジア地区最終予選がいよいよ始まる。突破して当然、と思われるほど強くなった日本だが、何が起こるかわからないのも最終予選である。

 実際、前回のロシア・ワールドカップに向かう最終予選では、2016年9月1日の初戦でホームゲームでUAEに1-2の逆転負けを喫している。

「ホームで先制しながら逆転されるのは、いま思えばありえない状況ですよね」

 その試合でプレーしていた酒井宏樹は5年前を振り返る。再び最終予選に臨むメンバーに選ばれてその経験を生かさない手はない。

「スタートダッシュは確実にしたいですし、そのためにホームでの勝ち点3がスイッチになると思います。前回はうまくスタートできずに自分たちで追い込んでしまいましたが、そうならないように気を引き締めて、前回以上に大事さを持って臨みたいと思います」

 今回の相手はオマーンで、またも中東の国だ。2019年のアジアカップで対戦していて、グループステージ第2戦で1-0となんとか振り切っている。酒井はこちらにもフル出場している。

「中東のクオリティーは上がってきていて、アジアカップでも接戦で勝ちましたけど、どちらが勝ってもおかしくない試合でした。リスペクトしながら勝てるようにやっていきたいと思います」

 フル代表はもちろん、東京オリンピックにもオーバーエイジで出場し、マルセイユ(フランス)から浦和レッズに移籍して、と、この夏はキャリアの大きな転換期にある。ただそれは、周囲の見方かもしれない。

「戻ってきたというよりも、Jリーグでプレーしたかったので移籍した、ということです」

「いまはJリーグで活躍することを模索していますし、全力を尽くしています」

「見てくれる人の評価が本当の自分の評価だと思っていますので、レベルアップしたと思ってもらえるように頑張りたいと思います」

 成長はどこででもできる。それをクラブでも、そして日本代表でも証明していくだけだ。カタール・ワールドカップへ向けて、いよいよしびれる日々が始まる。

「緊張感や責任感は2次予選とは比較にならないほど上がるので、そこに対してメンタルコントロールをして、チームとしてどうもっていくかが大事だと思います」

 心の準備を整えて、いざカタールへ。