長かった今回の日本代表の活動も、いよいよ6月15日のワールドカップ2次予選、キルギス戦が最後となる。橋本拳人はここまでの4試合すべてでプレーしているが、直近のセルビア戦では前半のみのプレー。相次いだミスから目を背けることなく、再生の物語をスタートさせる。

上写真=橋本拳人はセルビア戦でのミスに向き合って、再生への覚悟を決めた(写真◎Getty Images)

「強みであるボール奪取や守備の部分も出せなかった」

 橋本拳人はこのシリーズでここまで4試合すべてでプレーしている。5月28日のミャンマー戦で69分から登場し、4-3-3システムのアンカーに入った。そこから3試合は先発でボランチに入り、6月3日のU-24日本代表戦は62分まで守田英正と組んだ。7日のタジキスタン戦は川辺駿と組んで68分までプレーした。

 そして11日のセルビア戦は再び守田とプレーしたが、前半のみのプレーに終わった。

「前回の試合で前半、なかなか攻撃ができなかったのは自分の責任と感じています」

 セルビアが前半は5バック気味に低く構えて硬い試合に持ち込んできた。それもあって崩すのが難しかったのは事実だが、橋本自身はすべて自分の力量不足だと断じている。

「前へのチャレンジはしていたんですけど、パスがずれたことが何度かありましたし、不用意なロストもありました。最初にミスが続いて、それを取り返そうじゃないけど、いいプレーしたいという考えになってしまって、普段選択しないようなパスを選択してしまったり、自分で修正が効かなかったと感じています」

 ミスの連鎖でリズムをつかみきれなかったという自己分析。所属するロシアのロストフではボランチより前の攻撃的なポジションでプレーしていることも関係していそうだが、まずはベーシックな部分に意識を立ち返らせている。

「ボールを受けたときの判断が遅いですし、次が見えていなかった。次のパスコースに出せる立ち位置で受けることや受ける角度が非常に悪かったと思いますし、強い相手になればなるほど奪われる回数が増えてしまって、セルビアはいいチームだったので自分の弱さを露呈してしまったと思います。その中で強みであるボール奪取や守備の部分も出せなかったのも反省だし課題で、それも含めていまの自分の実力を痛感しました」

 15日にはこのシリーズのラストゲームとなるキルギスとのワールドカップ2次予選最終戦が控える。森保一監督はタジキスタン戦のメンバーを中心に起用すると話しており、橋本にチャンスが巡ってくる可能性も高そうだ。

「切り替えて次、と言えるほど代表の試合は軽いものではないので、重く責任を感じています」

 そう自分に矢印を向け続けるが、だからといって停滞を良しとするほどナイーブではない。

「突き抜けないとこのチームに残れないと感じています。次の試合や所属チームでどれだけ成長できるかを常に考えてやっていくしかないと思っています」

 すでにワールドカップ最終予選進出は決めているから、キルギス戦は今後へ向けた貴重な公式戦の場。「また新たな自分になっていきたいという意識が芽生えています」という橋本にとっては、再生に向けてとてつもなく重要なゲームになりそうだ。