山根視来がハードなポジション争いに挑んでいる。日本代表の右サイドバックは酒井宏樹、室屋成がいて、山根はいまはチャレンジャー。6月11日のキリンチャレンジカップ2021、セルビア戦は途中出場となり、改めて日本代表のレベルの高さを体感した。

上写真=山根視来はセルビア戦で途中出場。試合直後も熱心に原口元気(8)らと積極的に意見交換(写真◎JMPA毛受亮介)

「うまければいいわけではなく」

「僕はチャレンジしなければいけない立場だと思っていますし、これを最後に呼ばれなくなってしまう可能性もあります」

 山根視来に危機感が襲いかかる。日本代表の右サイドバックは酒井宏樹がU-24日本代表にオーバーエイジで合流していて今回は不参加、セルビア戦ではドイツのハノーファーでプレーしている室屋成が先発して65分までプレー、山根が代わってピッチに入った。

 日本代表としてはまだ3試合目。ここから室屋を、酒井を超えていかなければならない。

「途中交代で入ることはJリーグでも数試合しかないので難しいですけど、全体を外から見てよく考えてどういう状況だからどいうしなければと考えながら入りました。後半はテンポの早いゲームになったので、自分がボールを持ったときに前に行って失うよりは、1回ゆっくりしたほうがいいと思ったときにはゆっくりしましたし、そういう味方の感じを見ながらプレーしました」

 見ること。考えること。それが山根の強みだ。ピッチの中央に近いエリアに進出していく、いわゆる「インナーラップ」が得意のプレーだが、ただ内側のレーンに飛び出していくわけではない。ワイドに味方がいれば中に、中に密集していれば外にと、見て考えて選択しているだけの話で、得意だからといって、インナーラップの数が多いか少ないかだけで山根の調子を見極めようとすると失敗する。

 セルビアは屈強の男たちの集まりだったから、そこへの対応もテーマになった。

「あれだけでかい選手が揃うチームとやるのは初めてでしたけど、その中でも圧倒していけるようにしなければいけないので、チャレンジの意味で積極的にプレーしました」

 そこで感じたのは、改めて技術の尊さだった。

「判断のスピードもそうですし、高いインテンシティの中で発揮する技術が本当の技術だと思いました。うまければいいわけではなく、走れればいいわけではない、というレベルの高さで難しさは感じていますね」

 所属する川崎フロンターレはすべての選手が確かな技術を持っていて、山根もその一人だが、上には上がある、ということを国際試合は教えてくれる。もちろん、世界を舞台に戦う日本代表の仲間たちからもだ。

「練習して分かることはかなり多いので、一緒に活動している選手たちの強度やインテンシティを見習わないといけないし、状況判断して正確にプレーしなければいけないのはなかなかハードルが高いことだなと思っています」

 そのレベルに追いつくためにいま必要なのは、リスクをおかすことだと強く感じている。

「相手に捕まらない位置を見ながら、近くの選手を見ながら確認することが大事でしたし、(セルビア戦では)比較的できたと思いますけど、もっともっとゴール前に入っていく動きやアタッキングサードではもっとリスクをおかしたプレーを選択しても良かったのではないかと試合が終わってから思いました」

 決してナイーブだったわけではないが、大胆さも必要だというわけだ。

「レベルが高くなればなるほど、サッカーって難しいと感じることが多くなります」

 湘南ベルマーレから川崎F、川崎Fから日本代表と、さらに高い場所に足を踏み入れることで、見えてきた景色がある。一貫しているのは、見ることと考えること。その最大の強みを生かして、成長の道を駆け足で進んでいく。