日本代表は6月11日、親善試合でセルビア代表と対戦した。前半は攻め込みながらも得点できなかったが、ハーフタイムの修正と選手交代が効果を発揮して先制。追加点こそ奪えなかったものの、1-0の完封勝利を収めた。

上写真=日本は後半立ち上がりの伊東(14番)の決勝点で勝利を収めた(写真◎JMPA毛受亮介)

■2021年6月11日 キリンチャレンジカップ2021(@ノエビア/リモートマッチ)
日本 1-0 セルビア
得点者:(日)伊東純也

セットプレーで決勝点

 今年に入って多くの試合がアジア勢との対戦、カタールW杯2次予選では常に相手を圧倒してきた日本にとって、久しぶりに手応えのある相手。2018年ロシア・ワールドカップのベルギー戦以来となる欧州勢との国際Aマッチでもあり、森保一監督も前日会見で「いま我々がどれだけできるかを測るには最高の対戦相手」と、最終予選に向けたチームづくりの重要なステップと位置付けていた。

 森保監督は前日会見で先発について、6月3日のU-24日本代表戦のスタメンを中心に「(7日の)タジキスタン戦を見て何人かを入れ替える」との考えを明かしていた。蓋を開けてみると、U-24日本代表戦からの変更はGK権田、MF伊東、MF古橋の3人。大迫勇也の離脱によって起用法が注目された1トップには古橋が入った。

 立ち上がりから日本がボールを支配して攻め込むが、守備の際は中盤の両サイドが最終ラインまで下がり、5バックでスペースを埋めるセルビアの守りを崩せない。セルビアの攻撃はミスが多く、ドラガン・ストイコビッチ監督がベンチ前で何度もいら立ちをあらわにするほど。日本は労せずボールを奪い返す場面が多かったものの、その後の縦パスがずれたり、連係が乱れたりしてシュートまで持ち込めなかった。

 そうするうちにセルビアの時間帯となり、43分には谷口から南野への縦パスを奪われてカウンターを浴びると、エリア内左からFWマカリッチにフリーでシュートを打たれるピンチ。右に外れて事なきを得たものの、日本はボール支配率で上回りながら、可能性を感じさせる場面はセルビアの方が多いという展開で前半を終えた。

 ハーフタイムに日本、セルビアとも2人ずつ選手交代を行ない、日本は橋本に代えて川辺、古橋に代えてオナイウを投入。すると、追加招集で代表デビュー戦となったオナイウが、後半開始直後に仕事をする。右サイドへのフリーランでロングパスを引き出し、CK獲得につなげると、鎌田のキックを谷口がヘッドで流し、ファーサイドから飛び込んだ伊東が右足ボレーで蹴り込んだ(得点時間は48分)。

 均衡を破った日本はパスワークのリズムが良くなり、両サイドからの攻めで追加点を狙う。63分にはフリーで抜け出した伊東がドリブルからセンタリング、ファーサイドでオナイウが合わせてネットを揺らしたが、オフサイドの判定で追加点とはならなかった。

 その後は日本、セルビアとも多くの選手を入れ替えるが、日本は主導権を手放さない。88分にはロングパスに反応して抜け出した浅野がGKと1対1のビッグチャンスを迎えたが、ブロックされて決められず。それでも守備陣は最後まで崩れることなく、そのまま1-0で勝利を収めた。

 森保監督はハーフタイムの指示について「攻撃は、奪ったボールをチャンスがあれば素早く縦につけて、速攻につなげることにチャレンジしようと選手たちに伝えた」と明かした。後半立ち上がりのオナイウのプレーは、まさにその形によるものだったが、森保監督は「私が言わなくても、選手たちは自分たちで指摘し合って、共有してくれていた」と笑顔で語り、「前半の反省が後半につながったと思う」と振り返っている。

 ストイコビッチ監督が「AチームにBチームが混ざったメンバー」と語ったセルビアは、試合が進むにつれて疲労の色が濃くなり、日本にとっては、くみしやすい状態となった。それでも森保監督はセルビアの力を評価した上で「ただ守って1-0で勝てたのではなく、耐えながらもしっかり攻撃につなげ、2点目を奪いにいく姿勢を見せてくれたことはよかった」とコメント。谷口やオナイウなど国内組の新戦力が力を発揮したことも、今後のチームづくりへの収穫と言えるだろう。

取材◎石倉利英