カタール・ワールドカップアジア地区最終予選進出を決めている日本代表は、6月11日にセルビアとテストマッチを戦う。ここまでU-24日本代表戦、タジキスタン戦に出場した谷口彰悟はボランチでのプレーも経験したが、センターバックとして「技術」をスペシャルな武器にして勝負する。

上写真=谷口彰悟はビルドアップの技術を自分の強みに挙げる。センターバックから攻撃を組み立てるテクニックをチームに生かす(写真◎Getty Images)

「イメージと戦わなければならない」

 日本代表の一員として過ごす貴重な時間で手に入れるのは「世界基準」のイメージだ。

 谷口彰悟は、J1では圧倒的な強さを誇る川崎フロンターレのキャプテンにして、守備の要のセンターバックである。代表復帰はおよそ3年半ぶりで、選ばれたときには「ほとんど初めてのようなもの」と笑ったが、6月11日のセルビアとのテストマッチを前に、ぐっと表情を引き締めていた。

 日本代表にはヨーロッパでプレーする選手がいる。ヨーロッパの実力国との対戦も控えている。貪欲に学ぶ勤勉さは持ち味だから、「海外組の選手と話しながら頭の中でイメージして、そのイメージと戦わなければならない」とチャンスに備えている。

「センターバックに求められるのはまず、守るところですね。相手をつぶすところ、ラインコントロールで未然に防ぐ作業は必要だし、シュートのところで体を張って最後の局面でやらせないのがすべてのベースになります」

 日本では一級品の「守ること」が、日本代表でどこまで通用するのか。その距離感をしっかりと体感する毎日だ。セルビアに対しては「どのくらいバトルできるのか出し切りたい」と意欲を隠さない。

 では、「世界基準のイメージ」とはどんなものだろうか。

「プレーの強度もそうだし判断のスピード、判断の質もそうですけれど、戦っている環境が反映されると思っています。いまこうやって代表活動でトレーニングする中で、みんな速いし強いし、それを体感していて、このレベルを忘れずにやっていきたい思いがあります」

 強さ、速さ、質を課題に挙げた一方で、手応えがあったのは技術についてだという。それが次へのステップになるだろう。

「その中で技術ではできると思うところもかなりあります。自分の良さとやっていかなければいけない部分を整理しながら、強度やスピードをもっともっと意識していかないといけないと思います。いまはイメージしてやっていくことしかできないので、できるだけ高いレベルを意識しながら戦っていかなければ」

 センターバックとしての強みの一つに「ビルドアップ」を掲げてきた。川崎Fで培ってきた技術に、研ぎ澄まされたスピード感を付け加える作業の真っ最中だ。チャンスが与えられれば、セルビアにその成果をぶつけてみせる。

「守備のところでしっかりしないことにはダメだなというのは、改めて数試合やったり試合を見たりして感じているところですし、高いレベルになればなるほどそこはみんなできる部分になってきます。差をつけるにはスペシャルな部分を理解してチームに反映していくのが大事で、ビルドアップは自分にしか出せないところがあると思うので、ベースをきちんと高いレベルでやりつつスペシャルな部分を積極的に出していくのが大事だと思っています」

「谷口スペシャル」の成果や、いかに。