上写真＝川辺駿が日本代表初ゴール！ サバイバルへの一撃になる（写真◎JMPA早浪章弘）
■2021年6月7日 ワールドカップ2次予選兼アジアカップ予選（＠吹田/リモートマッチ）
日本 4-1 タジキスタン
得点者：（日）古橋亨梧、南野拓実、橋本拳人、川辺駿
（タ）エフソン･パンシャンベ
「一人で奪い切る力もつけなければいけない」
日本代表出場2試合目で初先発、フル出場して初ゴール。川辺駿の6月7日は意義深い日になった。
「初めて最初からの出場だったので緊張感があった中で、うまく試合に入れましたし、自分の特徴を出して、チームのやるべきことしっかりやろうと思って入れました。ゴールにもつながってよかったと思います」
試合を振り返る姿も初々しい。
初先発の舞台では、橋本拳人とコンビを組んでボランチへ。初めてピッチで合わせる選手が多かったために、序盤は全体的にボールの動かし方がぎこちなかった。6分に古橋亨梧が先制しながらもわずか3分後に追いつかれ、しかもこれがワールドカップ2次予選7試合目にして初めての失点だったから、少し重くなった。
「個人的には初めてスタートからなので慎重に入りたかった」というのが川辺の意識だった。慌てずにシンプルにプレーを選ぶところから始めていった。
「結果としては後ろに重たくなってしまったけれど、徐々につかんだので、最初はこんなもんだなと思っていました」
だから同点にされても焦ることもなく、「失点の少し前からボールの失い方が悪くて、そのまま勢いを持って攻められてしまいました。一度切るというか、前に運ぶ作業が必要でした」と冷静だった。
ハーフタイムにボランチのポジションを高くしようという話し合いがされたことで、川辺がボールに関わる回数も増えていった。低い位置で受けてさばくことがあれば、低いエリアは橋本に任せて2列目を追い越す得意の動きも見せていく。
「ボールを前に運ぶタイミングがあればいいサポートが増えてきたと思いますし、そういうシーンが増えることで決定機が増えました。そこはもっともっと増やしていきたいのと、質を上げていきたいと思います」
それが実ったのが、70分のシーンだろう。タジキスタンが最終ラインでつないできて浅野拓磨がプレス、GKに戻したときに、鎌田大地が巧みにコースを消した。すると、GKがキックミス。これを狙っていた川辺がダイレクトで無人のゴールに流し込んだ。右足で決めた記念の代表初ゴールは、この試合の締めとなるチーム4点目になった。
「1回似たようなシーンがあって、キーパーがつないでくると思って、奪えればなと思っていました。得点のシーンも右と左に2枚いたんですけど、駆け引きしながら弱いボールが来たので思い切って前に蹴りました。駆け引きしながら狙う部分は良かったと思います」
清々しく振り返ったが、それでもすぐに引き締める。
「同じポジションの選手を見ても毎試合、結果を出さなければまた呼ばれないと思います。その意味でも数字は必要だったと思うし、その他でもいいプレーを出さなければいけないし、一人で奪い切る力もつけなければいけないです。でも、それでも結果が出たのは安心しました。残り2試合あるので、結果を出していかないと自分の選ばれるポジションはないと思うので、毎試合アピールしたい」
遠藤航、守田英正、橋本拳人など、ボランチのポジションはハイレベルだ。最終予選までには現在のU-24日本代表からも加わるだろう。ひとときも気を緩めることはできない。
それでもこの日のプレーには、川辺らしいボールタッチのセンスと前線をサポートする「親切さ」がよく表れていた。また新たなオプションとして計算できるだけのパフォーマンスを見せることができた。