日本代表の右サイドバック、酒井宏樹がオーバーエイジとしてU-24日本代表に合流した。彼の「留守」の間に存在感を高めようとするのが山根視来だ。酒井のプレーから学ぶところを探しつつ、自分らしさも見失うことなく代表としてのキャリアを積み上げていくつもりだ。

上写真=6月3日のU-24日本代表戦は80分からの登場。残り3試合でアピールしていく(写真◎JMPA兼村竜介)

「でかい選手に真正面からぶつかっても勝てない」

 山根視来は「王者」川崎フロンターレで超攻撃的な右サイドバックとして評価を高めて、日本代表に選ばれた。Jリーグでは間違いなくトップクラスだ。

 だが、その山根も日本代表では越えなければいけない壁がある。ドイツでプレーする室屋成、そして長きに渡ってドイツとフランスでプレーし、ワールドカップも戦った酒井宏樹である。

 その酒井は6月6日、オーバーエイジの一員としてU-24日本代表に加わって、U-24ガーナ代表と親善試合で戦った。山根はそのプレーぶりを見ていた。

「迫力がありましたし、攻め上がるときも守備のときも体の大きさだけではなくていろんなものが含まれると思って見ていました」

 酒井のプレーの中に自分に応用できるものを一つでも探していた。

「代表のディフェンダーとしては一人で守ることが大前提なので、海外の強くて速い相手に一人で守れることをしていかなければ」

 もちろん連係して守ることも大事だが、国際試合では個と個の勝負に負ければ失点に直結してしまう、という危機感だ。

「でかい選手に真正面からぶつかっても勝てないので、トラップするときやインターセプトで前を取ることを意識しています」

 川崎Fの守備の流れでは1人で2人の相手を守ることが求められていて、そこで磨いた感覚の一つが「インターセプト」。それは国際試合でも生かしていけると感じている。

「川崎では一人で2人を見なければいけない状況があるので、相手の体の向きや目線でインターセプトしていくことは生きていると思います」

「自分がずっとやってきたものが評価されてきたと思っているので、それを出すことが大事ですし、その中で代表の基準でもやらなければいけない」

 自分の特徴の一つに「連続性」を挙げていて、奪ったあとにしっかりプレーすること、奪われたあとにポジションに戻ること、など、プレーをぶつ切りにせずにシームレスにつなげていくことも川崎Fで積み重ねてきた。

「自分のプレーがサイズの大きい選手に通用するか楽しみです」

 酒井が「留守」にしているいま、室屋との争いになるだろう。酒井が持つ「いろんなもの」を超えていくために、自分らしい違いを見せていくつもりだ。

写真◎JMPA兼村竜介