5月28日のカタール・ワールドカップアジア地区2次予選で、日本はミャンマーから10得点を奪って失点は0に抑えて最終予選進出を決めた。ゴールマウスを守ったのは川島永嗣。実力差のある相手だけに完封も当然だが、今回のワールドカップ予選はこれが初出場で、改めて新たな意欲をかみ締める。

上写真=川島永嗣が最後尾から味方を鼓舞する声が無観客のスタンドに響いた。代表92試合目は完封勝利だ(写真◎山口高明)

■2021年5月28日 ワールドカップ2次予選兼アジアカップ予選(@フクアリ/無観客)
日本 10-0 ミャンマー
得点者:(日)南野拓実2、大迫勇也5、守田英正、鎌田大地、板倉滉

「必要とされるときにしっかり仕事ができるように」

 無観客のスタジアムに、川島永嗣の声が響き渡る。ミャンマーのシュートは前半の1本だけ。圧倒的な実力の差がある相手との対戦で、GKとしては見せ場はほとんどなかったかもしれない。しかし、その声で健在ぶりを示した。

 カタール・ワールドカップを目指す2次予選では、これまではベンチ入りだけだったから、この日が初出場になった。

「代表の試合は特別ですし、ワールドカップに向けた試合に関われたのはうれしいです。まずチームの勝利がうれしくて、そこに関われてうれしかった」

 海外組だけで構成されたメンバーで、最も古くから代表選手として活動してきた。92試合目のこの試合は、2019年11月以来の出場となった。

「必要とされるときにしっかり仕事ができるように、常に準備をしています。自分の経験というものをチームに少しでも生かせるようにという気持ちではいるので、チャンスをこうやってもらえたのはうれしいですし、自分としてはとにかく、どういう形であっても、日本代表というチームにプラスになるように、そういう存在でいたいなと思います」

 川島のあとに続くようにして、若くしてヨーロッパでプレーするGKも続々と出てきた。そういう選手と日本代表のポジションを争うのもまた、充実の理由だろう。GKがビルドアップに積極的に参加する森保一監督のスタイルも、やりがいがある。

「このチームになってから練習の中でもそういう部分を求められますし、練習の中でもトライしています。一番はやはり、試合の中でどういう形でチームにビルドアップのところで関わっていけるかというところだと思います。まだ相手のところも含めて、そこまでは今日も関わるところはないですけれど、ただ、よりレベルが高くなったならそういういい意味で関われるようにしていきたいと思います」

 2018年ワールドカップでベルギーにカウンターで仕留められた「ロストフの悲劇」を、悲劇のままにしておくことはできない。自らの手で、あの悔しさをかき消すために、川島はどんな役割も果たしてみせる。

取材◎平澤大輔 写真◎山口高明