無所属で日本代表に選出されたFW浅野拓磨が、自身の未来を切り開く活躍を誓った。パルチザン・ベオグラードとの契約解除後は国内で調整していたことを明かし、5試合を戦うA代表で結果を残すべく燃えている。

上写真=3月の活動ではモンゴル戦で1得点を挙げた浅野。今回は無所属で選出された(写真◎小山真司)

国内の施設で自主練習

 発表されたメンバーリストの『所属』部分は空欄だ。2019年夏に加入したパルチザン・ベオグラード(セルビア)で今季18得点の活躍を見せた浅野は、5月2日に自身のブログで、給与の未払いなどを理由に契約を解除することを発表し、今回は無所属で選出されている。

 5月24日から活動を開始した日本代表のオンライン取材でも、この件について質問があった。給与の問題などがあったことを、あらためて説明した上で「もう次に向けてスタートしていて、この代表(活動)が待っていることも分かっていたので、できるだけの準備をやり続けていた」とコメント。契約解除を発表した5月2日には帰国しており、2週間の自主隔離を経て、国内の施設で調整していたことを明かした。

 気になる現在のコンディションは「契約を解除してから公式戦に出ていないので、試合感覚などは取り戻していかなければいけないと思っている」という状況。それでも、日本サッカー協会の協力を得て練習を重ねてきたことで「それほど問題はないと思っている。今日からみんなと合流してトレーニングするので、もっとコンディションを上げていければ」と前向きに語った。

 A代表は今回、5月28日のミャンマー戦から6月15日のキルギス戦まで、カタールW杯アジア2次予選3試合とキリンチャレンジカップ2021の2試合、計5試合を戦う。3週間近い活動で連係を深めることは、自身がFWとして結果を出す上でも重要なポイントの一つ。ただし新型コロナウイルスの感染予防のため、以前のように宿泊先で、食事会場などでコミュニケーションを取ることは難しい。

 そのぶんピッチでの練習時間が大事になるはずだが、浅野は「この環境だから、これをプラスアルファでやらなければいけない、といったことは、それほど考えていない」と語る。「普段コミュニケーションを取れる時間が少なければ、ピッチの中で一人ひとりが無意識にコミュニケーションを取っていくものだと思う」とした上で、「こういう状況に限らず、かみ合わないことはあると思っている。ピッチ内への影響は、それほどないと感じている」と自身の見解を述べた。

 3月の韓国戦とモンゴル戦は、どちらも控えからの途中出場。今回の活動はA代表での存在価値を示すと同時に、クラブでの未来を切り開くためにも結果を出したいところだ。「次のキャリアに向けても、すごく大事な活動になると思っている」と意気込む浅野は「まずは1試合1試合、全力で戦うこと」と決意を新たにした。