3-0で完勝した韓国戦に続き、3月30日にはワールドカップ2次予選のモンゴル戦が控えている。吉田麻也が見据えるのはそのずっと先のワールドカップでの勝利だが、そのためにいま、センターバックとしてすべきは冨安健洋とのコンビの習熟だ。

上写真=満開の桜をバックに練習。吉田麻也はモンゴル戦に勝利以上のものを求めていく(写真◎JFA)

「気持ちが緩みがちになるので、いかに締められるか」

 簡単なことかもしれないが、簡単だからこそ難しい。素晴らしい勝利の直後の、格下の相手との戦い方。

「ビッグマッチや大勝したあとは気持ちが緩みがちになるので、いかに締められるかが大事ですね」

 キャプテンの吉田麻也はそう指摘する。3月25日の親善試合で韓国に3-0のスコア以上の完勝を決め、ライバルを倒した。30日にはワールドカップ2次予選のモンゴル戦が控える。親善試合とワールドカップ予選。「本番」はもちろん後者だ。

「モンゴルとはやはり実力差はあると思いますが、僕たちが目指していることは目の前の試合に勝つことと、それ以上にワールドカップで勝つことです。(2020年11月の)メキシコ戦や韓国戦で出た課題を継続して改善して成長させていくことが大事になります」

 だからモンゴル戦は、勝利だけでは納得ができないゲームになる。課題を克服したと言いきれる内容でなければならない。

 その中には、冨安健洋とのセンターバックのコンビネーションの習熟も含まれる。

「冨安は非常に精神的に早熟して落ち着いています。韓国戦でラフプレーがあっても落ち着いて対応していますし、メンタル面でのブレがない。技術的、フィジカル的に恵まれているのもそうですが、それ以上にメンタルの成熟は彼の強みでしょう。若い選手は精神的な浮き沈みはあると思いますし、僕もそうだったけれど監督が我慢して使ってくれました。そういう心配がないのが彼のすごいところです」

 吉田もいまや心の安定と成熟はチームでナンバーワン。つまり、日本の壁はどんな危機にもパニックにならない安定感を武器にしているということだ。そうなれば、ワールドカップまでにより集中して積み上げていくべきは、技術面やコンビネーションの部分になる。

「ディテールのところですよね。ラインの押し上げや強い相手とやって難しい試合を乗り越えること、というところで、もちろんセンターバック2人だけの問題ではないけれど、積み上げることが成長になります。ディフェンダーは1試合、2試合で評価が変わるのことないポジションですから、予選を通して本大会に向かって作り上げていきます」

 吉田はサンプドリア、冨安はボローニャとともにイタリアのセリエAで腕を磨いている。チームにおけるシビアな現実と日々向き合いながら、対象的に、代表ではもっと守備の理想を追い求めることができるというのは面白い。

「おそらく僕も冨安も、自分のチーム以上のことを代表で求めていると思います。そこにハングリーさを持っているんです。どちらも中堅クラブで波が激しいチームにいて、代表に来れば理想の高いところでプレーできていて、それはいいところです。僕ももっともっと成長したいし、お互いにお互いを意識しているので、それが全体的なセンターバックの成長につながると思います」

 モンゴル戦も、その理想に向けた大きな積み上げのチャンスになる。