韓国を3-0で下した3月25日の国際親善試合で、2ゴールを演出したのが大迫勇也だ。テクニカルなジャンピングヒールキックと時間を作るキープ力で早々に2アシストしたが、自身の居場所である1トップでプレーできたことが大きかった。

上写真=見事な判断と技術で2点をアシスト。大迫勇也が次に狙うのはゴールだ(写真◎小山真司)

■2021年3月25日 国際親善試合(@日産スタジアム/観衆:8,356人)
日本 3-0 韓国
得点者:(日)山根視来、鎌田大地、遠藤航

「その思いも込めて自然といいプレーができました」

 韓国に3-0の完勝。思ったほど相手の強度が高くなかったが、危なげない試合となった。

「楽しい試合でした」と振り返ったのは、大迫勇也。理由はシンプルだが、重みがある。勝てたことだ。

「素直に試合で勝てたことがうれしいですね。次に試合があるので(30日のワールドカップ2次予選・モンゴル戦)切り替えなければいけないけれど、楽しかった。楽しい試合でした」

 韓国というライバルを相手に表現した素晴らしいスコアも、余裕すらうかがえる内容もそうなのだが、やはりこの試合には特別な意味があった。コロナ禍で開催にこぎつけたたくさんの人の思いを感じていた。

「もちろん、モチベーションはすごくチーム全体にありましたし、韓国戦ということもあります。それに、この環境を作ってくれた人たちのためにも、ですね。本当にいろいろな人が環境作りをしてくれたと思うので、その思いも込めて自然といいプレーができました」

 沈みがちな社会情勢に、勝利で明るい話題を。簡単なことではなかったが、やり遂げた充実感だ。

 もう一つの本音は、無得点に終わった悔しさ。

 17分の山根視来のゴールは、守田英正の縦パスが相手に引っかかったところに素早く反応して、ジャンピングヒールで縦に送ってアシスト。27分の鎌田大地のゴールも、カウンターになるときにボールを収め、相手を引きつけつつ時間をつくって味方の攻め上がりを促して、駆け上がった鎌田をパスで送り出した。3点のうち2点を演出した。

「1点目は切り替えの部分で素早く味方もしっかり見えていたので、いいところに流せたかな。2点目は3人に囲まれるのが分かって、時間をつくるようにしました。大地もスプリントしてくれたので、お互いにいい距離感でできたのではないかと思います」

 でも、ストライカーの本心はゴールを欲していた。

「得点が取れればよかったですけどね。僕がチャンスメークというか、起点を作るシーンが多かったので仕方ないかな。次に切り替えて得点は狙いたいなと思います」

 所属するブレーメンでは出番が激減し、得意の1トップではなくインサイドハーフでプレーすることも多くなった。でも、自分はFWなのだという矜持を韓国を相手に見せつけたのは大きい。

 内容についても一定の満足感は示している。韓国の守備にいつもの厳しさはなく、最終ラインから中盤へ、中盤からトップへの縦パスが面白いように入っていって、攻撃にリズムを生み出していた。

「それは感じていましたね。でも、こちらが守備のときにいい距離感で守ったことが大きかったのではないかと思います」

 守備の好連係が攻撃にそのままつながっていたという手応えだ。

「チームとしては立ち上がりからしっかりと球際に負けずにいこうと話していたし、前の選手がポジションをかぶらないようにと意識していました。それに、個人としては1トップでできたので何も考えずにできたというか、自分のプレーをそのまま出せた感じになったと思います」

 自然体の完勝劇。そのほどよいリラックスモードのまま、モンゴル戦でゴールを貪欲に狙っていく。