3月25日の国際親善試合、日本対韓国戦で、日本は3-0と快勝した。山根視来の初代表初ゴールに続く2点目を決めたのは、鎌田大地だった。カウンターから仕留めた一撃は、ヨーロッパに渡ったからこその判断だったという。

上写真=南野拓実に祝福されて、鎌田大地もうれしそう。「理想のWトップ下」のコンビ確立か(写真◎小山真司)

■2021年3月25日 国際親善試合(@日産スタジアム/観衆:8,356人)
日本 3-0 韓国
得点者:(日)山根視来、鎌田大地、遠藤航

「拓実くんと2枚のトップ下が理想」

 鎌田大地いわく、「欧州風」のカウンターだったという。

 27分、鎌田自身が鮮やかに決めたチーム2点目のことだ。カウンターで大迫勇也がうまくキープしたボールをもらった鎌田が、ゴールに向かって真っ直ぐに持ち運んでいく。右から伊東純也、左から大迫と南野拓実が並走するようになだれ込む。鎌田が選択したのは、右でも左でもなく、自らのフィニッシュ。寄せてきた相手の足元を抜くようにして放ったシュートは、グラウンダーのきれいな球筋で左ポストに当たって転がり込んだ。

「カウンターになった瞬間、日本でやっていたころだと追い越してやりきるということがなかったと思うけど、ヨーロッパに出ていってああいうことができるようになったと思います」

 つまりあの瞬間、ゴールを目指していったのは、ヨーロッパに活躍の舞台を移したからこそ磨かれた判断だったというのだ。

「攻守の切り替えの部分はチームとしても森保さんがよく言っているからみんな意識していると思います。あとは、ヨーロッパでやっている選手が前(攻撃陣)で出ていたから、切り替えてカウンターというのはどのチームもやっていて、それができているから前に人数をかけられたと思います」

 1トップの大迫勇也はドイツのブレーメン、右サイドハーフの伊東純也はベルギーのゲンク、左サイドハーフの南野拓実はイングランドのサウサンプトン、そして鎌田はドイツのフランクフルト。得点シーンではドイツのシュツットガルトで主力を張る遠藤航もペナルティーエリアまで走ってきた。というわけで、あの追加点はヨーロッパ基準では常識的だということだ。

 パスコースは少なくとも4つあったことになるが、選んだのはパスではなくフィニッシュ。

「選択肢はあるなと思っていて、あれだけ中に人がいたので、純也くんを使ってクロスから中で勝負がいいと思っていたんですけど、(鎌田を止めに来た)相手の選手の対応が良くなかったから仕掛けたら行けるかなという感覚でした。僕自身も点が欲しかったし、仕掛ける部分としては最初だったので、やりきろうと思いました」

 それだけしっかり味方が見えていて、相手も見えていて、冷静に余裕を持って判断することができた。

 フィニッシュワークにも工夫を盛り込んだ。ボール一つか二つ分、右に動かすことで相手の足も動かして、その逆を突いて送り込むグラウンダーのショットだ。

「シュート以外でも、クロスの場面でもボールをずらしていくのはいつもやっていますね。僕は足が速くないので工夫しなければいけないなと。常にああいう感じで狙っていますね」

 工夫といえばもう一つ、ポジショニングにも微調整を施していた。

 この日のMFは右にウイングタイプの伊東、中央にはそのテクニックとパスで決定機を演習する鎌田がいて、左には相手の懐に潜り込んでフィニッシュを狙う南野という組み合わせだった。南野はこれまでFWやトップ下での起用が多かったが、この日は左だったところがポイントになった。

「拓実くんとは、拓実くんが中に入ってきたら僕が外に行くし、純也くんをサイドに張らせて僕も右に入って拓実くんと2枚のトップ下が理想としゃべっていました。拓実くんが左でもやりづらさもなかったし、拓実くん自身もやりづらそうではなかったですね。うまくできたのかなと思いました」

 鎌田は前半のみでお役御免。また新たなオプションも手に入れたから、早く次の機会が見たくなってきた。