日本代表のキャプテン、吉田麻也がメキシコ戦を翌日に控え、オンラインで取材に応じた。テストマッチではあるものの、ワールドカップ常連国との対戦は貴重な機会。吉田は積み上げてきたものを確認する試合になると話した。

上写真=メキシコ戦を前にトレーニングに励む吉田麻也(写真◎JFA)

立ち位置を把握するチャンス

 日本時間18日早朝に日本が臨むメキシコ戦について、吉田キャプテンは非常に重要な試合と位置づけている。

「相手は強いと思います。ワールドカップのポッド1、2に入ってくるチームに対して確実にワールドカップで勝ち点3を取らなければいけない。そういう意味では非常に良い相手だと思います。韓国との試合を見ていてもかなり強いんだろうなという印象を受けています。FWはプレミアリーグでやっている選手で、相手が中2日なんで、どういうふうに出てくるか分からないですけど、万全の準備をして、本番を想定して試合をしなければいけないと思います」

 メキシコは過去7大会は連続で16強に進出し、8強に壁を越えられずに敗退している(自国開催の70年と86年には8強進出)。ワールドカップ常連国であり、世界的な評価も受ける強豪国の一つだが、それほどまでにW杯で8強に進出することは難しい。そして日本は今、この難しい目標を掲げて強化を進めている。

「前回の試合(11月13日のパナマ戦)も、やっぱり1-0で終わるのと、残り10分で2点目、3点目を取って終わるのでは違う。相手の戦意を削ぐことが重要。それによって、あの試合が例えばワールドカップの本戦だとしたら、残り10分の疲労度が全然違ってくるし、予選を突破したあとの試合も考えれば、非常に大事な時間だったと個人的には思っています。試合に出る選手が、そこまで考えてワールドカップを想定して戦わないといけないというのが、前回の試合の反省点でもあります」

 ロシア・ワールドカップで8強進出の難しさを体感した吉田は、13日のパナマ戦についてそう振り返った。テストマッチをただのテストで終わらせるのか、先につながるテストとして活用するのか。問われるのは、まさにその部分。ワールドカップ未経験の選手も多い中で、どれだけそのことをチーム内で共有できるか。選手の意識の持ちようによって、テストの価値は大きく変わってくる。その意味で言えば、こうした意識も持ち、発信できる吉田がキャプテンであることは日本にとって大きなプラスだろう。

 現在はコロナ禍にあり、いま日本が滞在しているオーストリアも17日から3週間のロックダウンを実施すると発表した。世界的に難しい状況にある中で、日本代表の強化が思うように進んで来なかった現実がある。多かれ少なかれ他国も同じ状況にあるものの、ヨーロッパや南米、中南米、アフリカの国々と距離的に遠い日本は、今後も強豪国との対戦できる機会が限られるかもしれない。だからこそ、明日のメキシコ戦は極めて重要な試合と言える。カタール・ワールドカップを見据えて、キャプテンは言う。

「(ロシアW杯からこれまでの歩みについて)自分が考えていた形ではないイレギュラーな形には正直、なっています。ただ、いまの時点で判断するのは非常に難しいというか。予選にしても、まだ2次予選で対戦国のレベルも正直高いわけではないですし、10月と今回のトレーニングマッチをしましたけど、言ってもトレーニングマッチと言われるのも分かっていますし。そういう意味ではFIFAランキングの高いメキシコ(11位。日本は27位)と当たれるのは、一つ良いテストというか、立ち位置を把握するチャンスになると思います」

 そのメキシコ戦、吉田は何を試し、何を確認したいと考えているのか。

「いつもやっていることをやるだけだと思いますね。しっかつなげるのか、カウンターから攻撃できるのか。あとは守備が耐えられるのか。いろんな側面から見ることができる試合になると思いますし、楽しみにしています」

「次は4バックか3バックか分からないですけど、相手のFW陣は良いタレントがそろっているので、個の部分でも組織としても、そこに負けないというのが、個人的には目標になります」

 ロシアW杯から2年が過ぎ、カタールW杯まであと2年となった。最後にここまでの積み上げの成果と、これから積み上げるべきものについても、キャプテンは言及した。

「(積み上げものは)選手の経験値が一つですね。そしてチームとしての経験値。そこがやっぱり高くないと、組み合わせや運で予選突破の可能性があったとしても、その次にいくのは本当に実力がないと難しいんだろうなと。そのことを、あの試合(ベルギー戦)で感じたので。そのためには個々の経験値をあげることと、各々としての成熟度を増やしていくことが当面の課題だと感じていました。現状、多くの選手がそういう舞台でしのぎを削っていると考えれば、悪くはないんじゃないかと。もっともっとレベルの高いところで、何人もの選手が毎週チャンピオンズリーグに出るような状況になるのが理想ですけど、そこは理想ばかり言っていても仕方がないので、今ある、僕自身もそうですけど、サウサンプトンであろうがサンプドリアであろうが、各々が競争というのはあるので、そこに勝っていって良いコンディションで毎回、毎回、代表戦に挑むことが大事だと思います」

 個々の選手が積み上げたものを持ち寄って、日本代表としてまた、大きなものを積み上げていく。そして今、日本にはどんなものが積み上がっているのか。それを確認するのが、メキシコ戦になる。