オーストリアで合宿中に日本代表は11日、オンラインで取材に応じて、この日は1年ぶりに復帰した長友佑都が登場。今回の合宿自分自身にとっていかに代表が重要な場所なのかについて、熱い思いを語った。

上写真=1年ぶりに代表活動に参加した長友佑都。練習にも意欲的に取り組んだ(写真◎JFA)

おっさんの意地を見せつつ、若い世代に経験を伝えたい

 長友にとっては1年ぶりの代表活動になる。まだ合流して間もないが、久々の練習を終えて「あらためて日本代表は僕の原動力だと実感した」と語った。

「やっぱり日本代表は僕のサッカー人生の中心にあるな、と感じています。代表が無ければ、僕はマルセイユ移籍という厳しいチャレンジをしていなかったと思うんですよ。本当に厳しい環境、難しい戦いを選べたのは、日本代表でやっぱり活躍したいからです。その自分の信念、覚悟はブレていない。もちろん、簡単な世界ではないですよ。言っても、トルコよりも明らかにレベルが上がる。そして世界的に見ても、フィジカルやスピードの面ではセリエAでも上だなと感じます。そこに挑んでいけたのは、僕の中心に日本代表があるからです」

 どんな環境でプレーするか。そこでいかにプレーできるか。長友がサッカー選手として選択を迫られたとき、基準とするのは常に「日本代表」だった。これまでも、これからも、それは変わらないのだろう。

 そんな重要な場所を、簡単に手放すわけにはいかない。10月シリーズでは安西幸輝と中山雄太が左サイドバックを務めた。現在の代表チームには若い選手たちも多いが、経験豊富な選手としての役割を果たしつつ、競争することに意欲を燃やす。

「もちろん日本代表として自分自身がしっかりとレギュラーで、競争に勝って、チームに貢献したいという気持ちがあります。それと若い選手に、ライバルにはなりますけど、伝えていきたいという気持ちもすごいあって、よく話すようにはしています。彼らが育ってくれることによって、僕もまた競争という意味でポジティブなエネルギーをもらえる。そういうエネルギーを自分自身が欲しているという部分もあると思うんです。厳しい環境の方が自分も間違いなく成長できるので。みなさんは今、『ポスト長友、ポスト長友』とおっさんを外したいみたいなので(笑)。そのおっさんの意地、魂を見せつつ、若い世代に自分の経験を伝えてきたい。今はすごく楽しんでいますね」

 経験は若い選手のために、そして代表のために還元する。そのことで激しくなるであろう競争に打ち勝ってこそ、代表でプレーすることができると長友は言う。チャレンジ精神が、尽きることはない。

 ただし、ポスト長友という見立てについては、自身の見解をこう付け加えた。

「ポスト長友で探すから、けっこう難しい部分があるんじゃないですか。良い面も悪い面も『長友だったら』とみなさん比べてしまうと思うんですよ。だからポスト長友よりも、日本代表の左サイドバックというところで選手を探した方が、若い選手たちにとってもいいと思う。僕は全然いいですけど、若い選手たちはやりづらいだろうなというふうに思います。新しい風を吹かすためにも、日本代表の左サイドバックを、と探した方がいいんじゃないかと思いますね」

 そう言って、後輩たちを気遣ったが、はつらつとした表情には充実感も見て取れた。11月シリーズで新しい風を吹かすのは、自ら競争に飛び込み、今なお進化を求め続ける長友自身なのかもしれないーー。