10月9日のカメルーン戦でA代表デビューを果たしたDF菅原由勢。2年前にA代表入りへの思いを伝えた吉田麻也と同じピッチに立ったことを喜ぶ一方、これをスタートラインとしたい思いを強調した。

上写真=A代表デビューから一夜明けた10月10日、オンライン取材で笑顔を見せる菅原(写真◎スクリーンショット)

「どこで出てもいいように準備した」

 今回が初招集となった菅原のA代表デビューの瞬間は、0-0で迎えた86分に訪れた。MF原口元気と交代して左アウトサイドに入り、アディショナルタイムも含めて約7分間プレー。「サッカーを始めたときからずっと、A代表のピッチに立つことを目標にしてきました。短い時間でしたがピッチに立つことができて、うれしかった」と思いを語った。

 本来の右サイドではなかったものの、「ピッチに立てるのなら、どのポジションでもいいのが自分のスタンス。日本代表のためなら、どこでも大丈夫ですと合宿中に森保さんとも話していた」という。「どこで出てもいいように準備したし、いつチャンスが来るか分からないのがサッカー。ずっと心の準備をして、ピッチに立ったときに何をすべきかを考えていた」という中でのデビュー戦だった。

 試合後は、名古屋グランパスの公式ツイッターの投稿が話題となった。2018年ロシア・ワールドカップ前に当時の名古屋U-18のメンバーが、先輩の吉田麻也に向けて日の丸に寄せ書きをした際、ほとんどの選手が「頑張ってください」と書く中で、菅原だけが「待っててください」と書いたというエピソードだった。

「確かに『待っててください』と書きました」と菅原は語り、吉田も今回の活動が始まった当初、その話をしていたという。「『もう来た』『すぐ来ちゃったよ』と話していて、『2年間、待たせてすみません』という感じだった」と笑った菅原は、「覚えていてくれたのはうれしいですし、自分がそういうメッセージを残して実現できたのは、いいこと。口に出して、具体的にしていくことがA代表デビューにつながったと思う」と有言実行への道のりを振り返った。

 その吉田から試合後に「おめでとう、と言ってもらった」そうで、「昔の友達やチームメイト、いろいろな方からも連絡が来て、デビューしたんだなという気持ちがある」と心境を語った。ただ、満足することはなく「自分は、まだまだこれからの選手。これをスタートと捉えて、自分の成長につなげることができるように、と全員に返信しました」と明かしている。

 名古屋U-18からトップチームに昇格して、海外に活躍の場を移し、日本代表でも不動の存在となっている吉田は、同様のキャリアを歩んでいる菅原にとって「大きなモチベーションで、目指すべき存在。早く一緒のピッチに立ちたかった」。寄せ書きに書いた思いを実現し、「まずは2年前の自分に、ようやくここまで来ることができたと伝えたい」とコメントした。

 だが一方で「自分としては追い越さなければいけない存在で、追い付け、追い越せだと思っている」ときっぱり。「いま吉田選手が日本代表に与えている以上のものを、自分が日本代表に与えることができるようになったとき、自分が吉田選手と比べて、どうだったかが分かると思う」と、新しい未来を見据えていた。