10月9日の国際親善試合・日本対カメルーン戦は0-0の引き分けに終わった。1トップに入ってフル出場した大迫勇也にとっては、無得点は痛恨の極み。しかも、クラブの意向で出場が許されたのはこの試合だけだったから、なおさらだった。

上写真=1トップとして90分間プレー。徐々に連係が向上した感触を得た(写真◎Getty Images)

やればやるだけ良くなる

 ドイツのブレーメンの保健当局の決まりと、所属クラブのベルダー・ブレーメンと日本サッカー協会の話し合いで、この試合だけの出場であることが決まってから、大迫勇也はこの90分にフォーカスしてきた。

 開始からゴールへの意識全開で迫り、39分にはミドルシュートを放つなど、リズムを生み出そうと奮闘した。しかし、うまくいかない。

「前半はなかなか守備がはまらずに、そこに力を使ってしまったという印象で、そこから前に行く力がありませんでした」

 カメルーンは速く、強く、しなやかで、なかなかこちらのペースでボールを握らせてもらえない。そこで日本は後半にフォーメーションを変え、前半の4-2-3-1から4-3-3で臨んだ。すると、全体のバランスが整い、カメルーンからボールを奪うだけではなく、そこから意志を持って展開していく場面が増えた。

「ボールを追うのに力を使ったのが(前半うまくいかなかった)一番の原因で、もっとクリアにして臨みたかったというのはありますけれど、後半に修正できたのはプラスだと思います。いい形でボールを追えるようになって攻撃にもつなげられるようになったし、あとは僕が取り切るというところはブレずにこだわりたい」

 49分にはビッグチャンスを迎えた。後半から入った伊東純也が自慢のスピードを生かして右サイドを突破してからクロス、中央では南野拓実と大迫が横に並ぶように待っていた。南野の頭を越えたボールをヘッドで狙ったのだが、惜しくも右に切れていった。

 後半の最初は堂安律と南野がシャドーに入り、その後は久保建英、鎌田大地がこの位置に入ってきた。多くのメンバーと近い距離でプレーしたことで、改めて感じるところがたくさんあったようだ。

「僕は相手のラインを引き下げるのを意識しながら、トップ下の2人がボールを受けられるように考えていました」

「もちろん、1年以上開いた中でのゲームだったので、最初は距離感に問題もありましたけど、時間が経つにつれて良くなりました。やればやるだけ良くなると思うので楽しみですし、僕ももっと個人としてのレベルをアップさせられればいいと思います」

 これで大迫の今回の代表の活動は終了だ。あらためて、ブルーのユニフォームに袖を通して気持ちを引き締める。

「まずは対戦相手がいいコンディションで来てくれて、僕たちにとってはプラスになった試合でした。あとは単純だけど、0-0という結果だったので前の選手がしっかり結果を残せれば、というところに尽きます。だから悔しさが残りますし、繰り返し繰り返しやり続けながら上を見ていければと思います」

「いろいろな人の頑張りがあって試合ができたと思うので感謝したいですし、もっとプレーで返せるようにと責任を感じています。これからさらに頑張っていきたい」

 今季はブレーメンでまだ完全にレギュラーになっているわけではないが、もう一度鍛え直して、次に代表でプレーするときにはきっとゴールに直結するプレーで、何倍にも恩返しするつもりだろう。