オランダ・ユトレヒトで合宿中の日本代表は8日、オンラインで取材に応じた。DFの安西幸輝は左サイドバックの第一人者、長友佑都が体調不良で不参加となった今回の遠征を大きなチャンスをとらえ、「100パーセントを出し切る」と意気込みを語った。

上写真=トレーニング中の安西幸輝。定位置確保に意欲を燃やしている(写真◎JFA)

憧れを持っていてはいつまでも追い越せない

 安西は強い決意を持って今回の遠征に臨んでいる。それは長らく変わっていない日本代表のサイドバックの序列を変えたいとの強い思いだ。長友佑都が体調不良で不参加となり、今、大きなチャンスが巡ってきた。

「佑都くんが来れないので、自分にチャンスが回ってくるとは思っています。2試合とも出るつもりでいますし、この1年間、積み上げてきたものを出せればいいと思います」

 日本代表の左サイドバックはもう10年以上、長友が不動のレギュラーとして君臨している。右サイドバックも酒井宏樹という絶対的な存在がいる。

「2次予選をずっとベンチで見てきて、すごく試合に出たいという気持ちが強くなっていましたが、所属チームで結果が出ず、2月に監督が代わってからは試合に出ることが少なった。本当に焦りがありました。ただ、1日1日しっかり練習を100パーセントでやってきた。あの2人を追い越したいという思いは僕だけじゃなくて、(室屋)成くんだったり、みんなが思っていること。その中で今回はチャンスだと思うし、やるだけだなと思っています」

 今季は所属するポルティモネンセで出番をつかみ、「監督の信頼が上がってきている」と感じているという。続けてきた努力の成果が出始めている。だからこそ、代表でも、との思いは強い。

「左サイドバックとして初招集を受けて、そこからずっと一番のライバルが佑都くんだと思ってきました。年齢的にも僕がやらなければならないし、僕が自信を持ってやることでもっともっと左サイドバックの競争が活性化すると思う。今回に関しては本当に100パーセントでやるだけだと思います」

 安西は所属クラブでは右サイドバックを担う。左右どちらもできるのが強み。ただ、日本代表の両サイドバックの壁は高い。

「成くんとも話したんですけど、海外ではサイドバックとして求められていることが日本とは本当に違う。守備の1対1の部分は強くて当たり前という感覚。佑都くんはその1対1がすごく強い。身長が高いわけではないのに、世界で戦い、代表のスタメンを守り続けているのはすごいこと。そこの部分で、僕はもっともっと磨かないといけない。憧れをずっと持っていてはいつまで経っても追い越せないので、今回はチャンスだと思って、ピッチで100パーセントでやって結果を出したいと思います」

「宏樹くんはサイズもあって、ダイナミックで攻撃も守備もできる選手。マルセイユという強豪クラブで何年も試合に出ています。でも次の世代というか、成くんとか僕とか、今回招集された(菅原)由勢もそうですけど、あの2人を脅かしていかないと日本代表も強くなっていかないと思う。そこは意識してやっていきたい」

 長友が不在の在を示すような結果にするわけにはいかない。長友がいなくても安西がいる。そう思わせられるかどうか。安西にとって勝負の10月シリーズになる。