オランダ遠征中の日本代表は9日のカメルーン戦、13日のコートジボワール戦に向けて、5日から合宿を行なっている。2日目となったこの日はトレーニング前に柴崎岳がオンラインで取材に応じた。

上写真=約1年ぶりの代表活動でトレーニングする柴崎岳(写真◎JFA)

スポーツ界全体の模範となるように

 いつからだろう。代表の練習のランニング時に集団の先頭を走る柴崎の姿を目にするようになったのは。森保一監督が就任して以降の練習では、いつも柴崎が集団を引っ張っている印象がある。その姿は実に頼もしい。今回、オランダから届いた練習中の画像の中でも、柴崎はやっぱり集団の先頭を走っていた。

「まだ1日しか練習をしてないんですけど、久しぶりだなという感覚でした。世の中のシチュエーションを考えれば、大事にしなければいけないと感じますし、今回の代表活動はスポーツの中でもサッカーが先頭に立ってこういう活動すると聞いたので、サッカー界だけではなくスポーツ界全体の模範となるような活動になれればと思っています。試合に関しても2試合、カメルーンとコートジボワールという強豪国と対戦できることをうれしく思いますし、代表として試合をすることに僕自身は不安は感じていません。試合の中でも話し合いながら強化していければなと思います」

 1年ぶりの代表活動。前日、吉田麻也キャプテンは今回の活動について覚悟を語ったが、吉田の不在時にキャプテンマークを巻く柴崎もまた、その意義を語った。

 もちろん、試合を滞りなく終えることだけが柴崎の言う「模範」ではないだろう。アフリカの強豪国との2試合で何を見せるかも重要だ。ピッチ内で求められる仕事については、こう話した。

「常々言っていることですが、リンクマンとして前と後ろをつなげる役割が求められていると思っています。2列目に特長がある選手がいる中で、彼らと良い距離感を保つためには僕らのポジションが大事になると思う。そこはしっかりやっていきたい」

 ボランチとして最終ラインからボールを引き出し、攻撃を形づくってアタッカーの能力を生かす。チームの前と後ろをつなぐ要としての役割が、今回も柴崎には求められる。ただし、今の柴崎のプレーはつなぐことにだけに留まらない。スペインに渡り、ヘタフェではサイドハーフを主戦場とし、デポルティボではセカンドボランチでプレー。プレーの幅は着実に広げてきた。

「個人的には中盤を幅広くカバーできるスタイルになってきていると感じています。僕自身もそういったいろんな場面でフレキシブルに対応できる選手になりたいと思っていた。去年1年、ボランチで出場することが多かったのでこだわりがありそうにも映るかもしれませんが、そんなことはなく、チームの状況に応じてポジションを移したりとか、僕のプレースタイルでできることをその状況、状況でやっていければ。それを代表チームでも反映させていけるようにしたい」

 今夏にはデポルティボからレガネスへと移籍し、昨年と同じくスペインの2リーグで戦うことを決めたが、その理由として「こちらの選手やプレーに触れて、ヨーロッパに身に置くことが大事」であり、「日本に戻る選択は全くなかった」と話した。「2部とはいえ、競争力のあるリーグで、存在感を発揮できる選手は1部でも確実に通用する。僕自身はここで研鑽を積みたいと思っています」と、さらなる成長も誓う。

 柴崎が手に入れたプレーの幅も、プレーヤーとしての進歩も、当然ながらそのすべてが代表チームにも生かされる。われわれは1年ぶりの代表戦で、柴崎岳の今を確認することになる。