なでしこジャパン(日本女子代表)MF長谷川唯が、パリ五輪への収穫と課題を口にした。7月13日に金沢ゴーゴーカレースタジアムで行なわれ、4-0で勝利したガーナ女子代表との親善試合。相手に退場者が出た後半に4得点を奪った一戦が、本番への貴重なシミュレーションになったとの考えを示している。

上写真=自身のパフォーマンスには厳しい見方を示した長谷川だが、チームの出来と結果には一定の手応えをつかんだ(写真◎森田将義」

■2024年7月13日 国際親善試合(観衆9,648人@金沢)
日本女子 4−0 ガーナ女子
得点:(日)田中美南、浜野まいか、藤野あおば、植木理子

「本大会でこういう試合もあり得る」

 元日の能登半島地震を受けて「MS&ADカップ2024~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~」と題して行なわれた一戦。なでしこJは立ち上がりから積極的にゴールを目指し、23分には相手に退場者が出て1人多い状況となりながらも、なかなか得点を奪えなかった。

 長谷川は試合後に「前半、相手が11人のときは、ポゼッションでずっとボールを持たれていた感覚があって、思っていたよりもすごくつないでくるという印象だった」と振り返った。「(パリ五輪で)対戦するナイジェリアを予想した戦いかなと思って(試合に)入ったのですが、どちらかというとブラジルのようなボールの持ち方や身体つきだった」という相手もさることながら、センターハーフでプレーした自分自身も攻撃のリズムが作れず、「いままでで最悪ぐらいの内容だった」という。
 
 退場時の抗議、また37分には判定に納得がいかないガーナのサポーターがピッチに乱入するなど、試合が止まる場面も多かったが、その時間を生かし、選手たちはコミュニケーションを欠かさなかった。MF長野風花は「『悪くないから、自分たちから途切れることなくやろう』とずっと話していた。その中で、もう少し攻撃のテンポを上げていこうと」修正点を共有したことが、スコアレスで迎えた後半に奏功する。

 51分、敵陣の高い位置でボールを奪ったFW田中がFW浜野とのパス交換から左足で蹴り込む。一度はオフサイドと判定されたが、VARの介入を経て得点が認められ、ようやく均衡を破った。65分にCKから浜野が2点目を決めると、67分にはMF藤野がFKを直接決めて3点目。74分には藤野のFKをFW植木がヘッドで合わせ、終わってみれば4-0の快勝だった。

 ガーナ代表のノラ・エリザベス・ハウプトゥル監督は「レッドカードの前後で試合を分析しなければいけない。退場者が出る前はスペースを見つけて、私たちが得意とするポゼッションサッカーができていた」と語った。なでしこJにとっては、相手が11人のうちに自分たちの流れに持ち込めなかったのは反省点だ。

 だが長谷川は「本当は(相手が最後まで)11人でやりたかったですけど、本大会でこういう試合もあり得ると思う。すごく良い試合になった」と評した。なかなか均衡が破れない状況で、セットプレーから3点を取れたことも今後につながるだろう。石川の地で得た経験を、パリでの飛躍につなげていく。

取材・写真◎森田将義