日本女子代表(なでしこジャパン)は7月19日の『EAFF E-1サッカー選手権2022決勝大会』初戦で、韓国に2-1で勝ちきった。序盤に押し込まれたのを跳ね返したのは宮澤ひなたの先制ゴールで、これをアシストしたのが成宮唯だ。練習の成果が出た連係に確かな手応えを感じている。

上写真=成宮唯は先制点のアシストなど、攻撃の持ち味を出した(写真◎小山真司)

得意の「ポケットに走り込むこと」が生きた

 E-1選手権初戦の韓国戦は、序盤から押し込まれて重苦しい雰囲気だった。これを破ったのは宮澤ひなたが蹴り込んだ33分の先制ゴール。アシストしたのが、成宮唯だった。

「​​前半は本当にチームとして重たい感じで入ってしまって、韓国の流れをまんまと受けてしまう形になってしまいました。耐える時間で耐えて、流れを変える得点のアシストができたのは、個人的には良かったと思っています」

 相手の3バックの背中側、ゴールエリア脇付近のいわゆる「ポケット」を複数の選手が連動して攻略した見事なゴールだった。右サイドで清水梨紗から内側で受けた成宮は、さらに内側にいた猶本光に預けてポケットに走った。猶本のパスを相手がクリアしたボールがまた相手に当たって足元にこぼれてくる幸運も味方して、マイナスへ。宮澤が確実にフィニッシュした。

「まず梨紗が持ったときにサポートに入って、梨紗が縦に走ったのが見えたけれど相手もそこに釣られて、中を見たら光がフリーでした。そこは冷静な判断ができたと思います。得意としているポケットに走り込むことは、練習でもずっとやってきて、ラッキーではありましたけど、試合の場でしっかりつながって進入して、これも練習でやってきたようにカットバックして、ひなたのところが見えてよかったです」

 最後はニアに植木理子も突っ込んで相手を引き連れて宮澤をフリーにしていたから、フィールドプレーヤーの半分が関わる鮮やかな先制ゴールだった。

 このあと同点とされて、女子アジアカップで引き分けたときと同じ嫌な展開になったが、65分にカウンターから長野風花が決めて勝ちきったのは成長の証だ。しかしそれでも、シュート数が日本の4本に対して韓国が12本と、押し込まれたのも事実。

 韓国のロングボール戦法に後手を踏んだ格好だが、1年後のワールドカップでは、韓国よりもさらにパワーのあるヨーロッパ、南米勢が、韓国よりも長身のFWにロングボールを入れて押し込む展開も予想できる。池田太監督も選手には「蹴られているが崩されてはいない」と平静を求めたが、未然に防ぐ戦いも身に着けておきたい。

「アグレッシブに取りにいくことをやってきて、ハイプレスをかけるところと形を作ってブロックを敷いて守るところの切り替えは、みんなで共通理解は深まってきています。ただ、韓国に楽にノープレッシャーで蹴らせる場面が特に最初の方にはあったので、後手に回ってしまいました。しっかりはね返してセカンドボールに反応できて、修正はできたと思います」

 20分過ぎからはようやくボールを動かせるようになって、息を吹き返した。そのリズムが先制ゴールへとつながっていく。

「相手が勢いを持って最初からロングボールをたくさん入れてきて、ガツガツと来る中で、両サイドハーフやトップ下がライン間でボールを受けることができるようになってから、いいコンビネーションの形ができてペースを握ることができました」

 自分たちがボールを握って渡さないことが、そのまま韓国のロングボールを封じることにもつながっていく。その実感を手に入れたことも、ワールドカップで大きな果実になるだろう。