今年の女子アジアカップで5試合5得点とブレイクしたのがFW植木理子。池田太監督が就任してから2度目のヨーロッパ遠征に臨んでいるなでしこジャパンでエースに成長するべく、チャレンジの日々だ。速さとシュートテクニックで貪欲にゴールを狙う。

上写真=植木理子はアジアカップでの活躍で、エース候補に名乗り(写真◎スクリーンショット)

「いろいろな引き出しを持って」

 WEリーグの最初のシーズンで、植木理子は19試合に出場、6得点はランキング7位タイだった。優秀選手に選ばれたが、ベストイレブンは逃した。

「チャンスを作っているのは例年よりも成長できた部分ですが、決めなければ意味がない」

 得点女王になった菅澤優衣香は14ゴール。半分にも満たなかったことを悔やんだ。

 なでしこジャパンの一員としては、今年1月から2月に行われた女子アジアカップで4位となって、来年の女子ワールドカップの出場権を獲得した。植木はここで出色の活躍を見せる。5試合すべてに出場し、そのうち4試合でゴールを挙げて、計5ゴール。

「個人としては代表初ゴールもあって、代表という立場で決めたことが自信になりました。でも、チームを勝たせられなかったことがすべてです。そこに対して力の無さを感じたし、たくさん試合に出た分、負けの重みは感じました」

 準決勝の中国戦では2ゴールを挙げて2-1のリードで112分まで戦い抜いたが、そのあと同点ゴールを許してPK戦で敗れた。その悔しさはもちろんいまも残る。

 そこで得た課題をクリアにするためにも、今回のヨーロッパ遠征でやりたいことがたくさんある。基準となるのが、昨年11月の遠征でフル出場したアイスランド戦。

「ボールを持っている時間帯にもっともっとアイディアを出して、いろいろな形でゴールに向かいたかった。もっとチャレンジしたい部分はたくさんあるので、ゴールへ向かい方はいろいろな引き出しを持ってプレーしたい」

 持ち味は一瞬の抜け出し。強靭なヨーロッパのセンターバックと駆け引きしながら、仲間と呼吸を合わせてすり抜けたい。

「長い距離を走ると勝てないこともありますけど、一瞬で裏を突くスピードでは負けちゃいけないと思っています。一瞬の動き出しでボールを引き出して、よりゴールに近いところで受けることを意識したい」

 昨年のヨーロッパ遠征では、2試合で誰もゴールを挙げられなかった。6月24日のセルビア戦で、植木が「第1号」になってみせる。