池田太監督が就任してから2度目のヨーロッパ遠征に臨んでいるなでしこジャパン。右サイドバックとしてこのチームの要になっているのが清水梨紗だ。WEリーグ1年目でベストイレブンに入ったのも当然の活躍ぶり。来年の女子ワールドカップに向けていま、現在地を探る旅だ。

上写真=清水梨紗は充実のシーズンを過ごし、「大きなケガがなかったのが成長」(写真◎スクリーンショット)

「背後を突けるかがポイントになる」

 昨年11月のヨーロッパ遠征で、アイスランド戦もオランダ戦もフル出場。今年のアジアカップも全試合先発で、WEリーグでも20試合にフルタイム出場。清水梨紗の充実ぶりは、その数字を見るだけで明らかだ。

 今回の遠征では、セルビアとフィンランドが相手。「ヨーロッパといえばスピードに戦術を加えた中で個々の力があるのに加えて、セルビアは力強さがある」と認識している。だから「背後を突けるかがポイントになる」が攻略のイメージだ。フィンランドは「EUROに向けたチーム作りをしているので、その大会に参加するチームと試合ができるのは楽しみ」だという。

 成長の度合いを測るとしたら、昨年11月のヨーロッパ遠征を基準にできそうだ。アイスランドに0-2、オランダに0-0だったが、池田太監督を迎えて間もなくの、チーム作りの最初のステップだった。アイスランドには果敢にボールを奪いに出た裏を突かれて失点し、若手中心のオランダには攻めながら決めきれなかった。もちろん、対戦相手が違えば状況も異なるが、11月の2試合から受けた刺激をもう一度ヨーロッパの国を相手にピッチで確かめることができる。

「個人としては割といままでとやることは変わらないと思っています」と清水。右サイドバックの第一人者として、攻撃にも守備にもテーマを置く。

「ウイングやセンターフォワードが強力だという印象があるので、個人で止めるのかサイドハーフやセンターバックと連係して止めるのか、いろいろな止め方はあると思いますが、相手が嫌がることを意識しています」

 サイドバックとしては、逆サイドから飛んでくるクロスボールに対応するタスクが重要になる。ヨーロッパの選手と比べて小柄な日本に対しては、各国ともサイドからのクロスを攻略の常套手段にしてくる。

「逆サイドからのクロスは自分のところに飛んでくることが多いし、課題の一つです。体格の大きい選手が思い切りよく入ってくるので、はね返すことが大事になってきます」

 攻撃ではやはり、得点力が課題。

「11月の遠征ではゴールが取れていないので、課題です。アジアの大会で比較的、点数が入るような試合であれば、ハーフコートゲームになって攻撃だけのタイミングでオーバーラップを考えるんですけど、ヨーロッパのチームや、アジアでも中国や韓国など拮抗したチームと対戦するときには、頭の中では守備のことを考えておかないと相手のカウンターもあるので、バランスはすごく大事だと思っています」

 アジアカップでは豊富な運動量で走り続け、右サイドの鮮やかな攻撃を演出した。今度はそれをヨーロッパのチームを相手に、バランスを見ながらタイミングよく繰り出していく。清水の出来が右サイドの攻守を左右するだけに、そのプレーがいまから楽しみだ。