AFC女子アジアカップに出場しているなでしこジャパン(日本女子代表)は準々決勝でタイに勝って、2023年女子ワールドカップの出場権を獲得した。次の目標は3連覇。2月3日の準決勝では中国が立ちはだかる。公式会見に出席した池田太監督も植木理子も、集中している。

上写真=植木理子はここまで3ゴール。中国の強靭なDFを打ち破って勝利に導きたい(写真◎AFC)

「クリエイティブな」ワン・シュアンに要注意

 中国女子代表チームの愛称は「Steel Roses」だという。鉄の薔薇である。

 日本がその花を、女子アジアカップ準決勝の舞台で静かに散らせてみせる。過去、この大会で5度、準決勝で激突していて4度、日本が勝っている。

 池田太監督は「過去の勝敗よりも、現在のパフォーマンスで臨んでいく」と相性の良さは考慮に入れない。「選手たちもしっかりと準備できている状況です」と落ち着いている。

 中国は、新型コロナウイルスのクラスターにより大会参加を途中で断念したインドと戦っていないので、ここまで3試合のみの消化。日本より疲労は少ないかもしれない。池田監督は冷静に分析を済ませている。

「サイドバックが高いポジションを取ったり、前線にスペシャリティーのある選手がいて、個人レベルで注意する選手は共有して戦いたいと思います。ノックアウトステージだということもありますから、先制点をしっかり取ることはより大事にしていきたい」

 中国ではやはり、ワン・シュアンの存在が気になる。「前線で自由に動くクリエイティブな選手がいるので抑えること」と池田監督も注意を払いながら、「試合を通じてゲームをコントロールすることをできればと思っています」と勝利へのプランを少しだけ明かした。

 先制点を奪う展開は、もちろん選手にもしっかり共有されている。植木理子はFWであるだけに、より意識が高い。

「準決勝というステージなので、高いレベルでの試合になることが予想されます。チームとして先制点を取って90分で決着をつけたいし、フォワードなのでチームのゴールに関わりたい」

 もちろん、自らの一撃で勝利を手にする意欲を隠さない。

「フォワードはゴールを取ることが一番の仕事。ここまで3点を取れていることは自信にもなりますが、チームを勝たせるゴールを取るのが一番の役割です。あと2試合、自分のゴールでチームを勝たせられるようにしたい」

 3つのゴールはそれぞれ個性たっぷりだ。初戦のミャンマー戦で挙げた22分の先制弾は、長谷川唯の右からのクロスに豪快に飛び込んでヘッドで突き刺したもの、韓国戦では開始たったの32秒で決める電光石火で、トップスピードに乗って相手2人を出し抜いて、最後は冷静に仕留めた。タイ戦は76分のチーム5点目で、菅澤優衣香のポストからのボールを右足で左スミに突き刺す教科書のようなきれいなゴールだった。

 ストライカーとして多くのゴールパターンを備えるのは大きな武器だ。それを有効に生かすことができている要素を、「関わり」という言葉で表現した。

「近くの選手とコミュニケーションを取って、試合を重ねていくうちにゴールが増えています。いままで以上に関わりを高めてゴールに近づいていくことが必要です」

 残りは2試合。まずは「鉄の薔薇」を相手に、植木はどんなパターンのゴールを見せてくれるだろうか。