AFC女子アジアカップでベスト4に進出したなでしこジャパン(日本女子代表)。2023年女子ワールドカップの出場権を手に入れたが、その準々決勝のタイ戦で代表初ゴールを挙げたのが隅田凜だ。ボランチとして攻撃にも積極的に関わった「遅れる」テクニックとは。

上写真=隅田凜はゴール以外にも攻撃にリンクして、大勝に貢献した(写真◎AFC)

「サイドをえぐったら後ろが空いてくる」

 ワールドカップ出場権をかけた大事な一戦で、隅田凜はボランチとしてフル出場を果たした。代表初ゴールを含めた攻撃への貢献が、チームの大きな力になった。

 うれしい初ゴールは、後半開始早々の48分に決めている。左から宮澤ひなたがセンタリング、菅澤優衣香が落としたボールを確実に蹴り込んだ。

「韓国戦で同じような形でシュートを打てずに後悔したので、いい形で入っていけたし、アシストしてくれた優衣香さんのボールが優しかった」

 これがチーム3点目となって、相手の意欲を削ぐことにもなった。

 この日の攻撃で意識したのは、「遅れる」ことだった。

 例えば、左サイドハーフに入った宮澤ひなたとの連係。

「サイドでスピードを生かしてドリブル突破するシーンが多かったので、そのスペースに入らないように遅れてサポートに入るようにしました」

 あえてタイミングを遅らせることで、スペースを埋めてしまって邪魔をすることがないように心がけた。

 例えば、PK獲得のシーン。

「練習でも、サイドをえぐったら後ろが空いてくるので、意識していました。前の試合で入りすぎてしまったのが課題だったので、少しタイミングを変えて遅れて入っていきました」

 15分に右サイドを長谷川唯が破ると、マイナスのパス。後ろから入ってきた隅田が受けて、相手を左にかわしてペナルティーエリアの中に入ったところで倒されてPKを獲得した。岩渕真奈のキックは止められてしまうのだが、サイドハーフが攻め上がったのを見計らいつつ、やはり遅れてスペースに入ることでチャンスを生み出したのだった。

 先制点は27分に菅澤優衣香が決めたが、ここにも絡んでいる。最終ラインと中盤のラインの間にポジションを取って長野風花からの縦パスを引き出してから、左へ展開。宮澤のラストパスに菅澤が合わせた。だが、ここに反省点があるという。

「あの場面は風花からのパスで直接ゴールに向かえるような動き出しをしたんですけど、結果的に突破できなくてサイドに振る形になりました。相手のバイタルエリアで受けたらチャンスが起こるのは感じたので、もっともっと活用していきたいと思います」

 確かに、長野のパスを右足で止めたときに、やや後ろ側にボールを置いてしまったことで体を前に向けられずに相手に取られかけた。なんとか左に展開したものの、ワンタッチで前を向ければフィニッシュまで行けたかもしれない。一瞬のていねいさを次への課題として自らにぶつけている。

 ワールドカップ出場権を獲得し、次の目標は3大会連続のアジアチャンピオン。まずは準決勝で中国が立ちはだかる。

「中国はサイズが大きくて、これまでの相手と違う戦いになると思います。プレッシャーで一つひとつのプレーの選択が変わってくると思うので、より一層早い判断やゴールを割らせないように相手を上回ることが大事になってきます。この4試合で少しずつ攻撃が良くなっているので、次にもっといい内容で戦っていきたいと思います」

 タフな戦いなら、隅田が得意とするところ。恐れを知らないボランチが、「代表2点目」で勝利をもたらしたら最高だ。