なでしこジャパン(日本女子代表)は30日、AFC女子アジアカップ準々決勝のタイ戦に臨み、7-0で快勝した。この結果、9大会連続で女子W杯出場権の獲得に成功したが、重圧のかかる試合で躍動したのが、宮澤ひなただった。

上写真=タイとの準々決勝で1ゴール1アシストの活躍を披露した宮澤ひなた(写真◎AFC)

なでしこジャパン初ゴール

 4ゴールを決めた菅澤優衣香とともに称賛に値するパフォーマンスを披露した。宮澤ひなたは、間違いなく日本の大勝を導いた一人だろう。まずは優れた技術力と判断力で先制ゴールをアシストしてみせた。27分、同じマイナビ仙台所属の隅田凜からのパスをボックス左角付近で受けると、前向きにトラップしてすぐさまニアサイドへ左足で鋭く速いボールを送った。「優衣香さんが走ってくれたので」ボールを入れるだけだったと謙遜したが、トラップの際のボールの置きどころとクロスを送った場所が絶妙で、菅澤は足を当てるだけでよかった。

 前半終了間際には長谷川唯と岩渕真奈で右サイドを攻略したのを確認しつつ、信じてボックス内へ進入。クロスに反応し、相手DFに触れてこぼれボールを冷静にプッシュして、自身の代表初ゴールを刻んだ。

 躍動する宮澤は後半もチームをけん引してみせる。アシストこそつかなかったが、チームの3点目にも絡んだ。48分のこと。左サイドで幅を取りつつ、ボールを受けるとボックス内の菅澤にドンピシャのクロスを送る。その落としを隅田が蹴り込み、ネットが揺れた。

「結果としてなでしこジャパン初ゴールを決められて素直にうれしかったです。ただ、でも他にも決められるシーンがあったし、もっとチャンスメークできるシーンがあったので、そこはまだまだだなと思います」

 試合後には強い向上心を口にしたが、69分に交代するまで自身の役割を十二分に果たしたと言える。

「今までの3戦とは違ってW杯の出場権が懸かる試合で、大事な試合だったと思うんですけど、しっかりみんなで勝ち取れた、勝利だったなと感じます。ボールを持っている時間帯が長かったなかで、どう崩すかというアイディアも、得点はいろんな形で取れたので次に向けていい試合ができたのかなと思います」

 相手のタイは格下であったとはいえ、この試合はW杯出場権のかかった、つまりはプレッシャーのかかる重要な試合だった。しかし、点の取り方も勝ち方も次につながる、チームとして手応えを感じるゲームになった。そこでひと際輝いたのが、宮澤だった。

「きょう勝ってW杯出場権を取れたのはチームとしてよかったと思います。ただ守備の強度であったりとか、個人としてもそうですけど、W杯に出たらもっと強豪チームがたくさんいますし、アジアとはまた違うタイプの選手がたくさんいる中で日本は戦っていかないといけない。その意味でもっと成長しないと」

 試合後は感傷に浸るまもなく、次戦に目を向けていた。目指すのはアジアカップ3連覇。宮澤は目標達成のために残り2試合も変わらず、全力を尽くすと誓った。