AFC女子アジアカップで日本はグループCを首位で通過した。最初のステップはクリアしたものの、第3戦の韓国戦で攻めあぐねて追いつかれた末のドローは、後味が悪かった。3試合すべてにプレーした長野風花は、より攻撃的にと自らを鼓舞するのだった。

上写真=長野風花は3試合すべてに出場。ボランチとして重要な役割を担っている(写真◎AFC)

「人数をかけてゴールに向かっていきたい」

 最初の目的である「グループステージ首位通過」を達成したが、長野風花には充実感があるわけではない。まだワールドカップ出場権を手にしたわけではないし、優勝まではあと3つ勝たなければならない。

 そして、第3戦の韓国戦だ。開始32秒で植木理子が先制しながら追加点を奪えず、85分にセットプレーから同点に追いつかれ、1-1のドロー。得失点差で辛くも首位を堅持したが、課題だらけの90分となった。

「3試合を終えて個人的には満足できる部分は少なくて、課題がまだまだあります。攻撃のチャンスを自分のところで作っていきたいです。バランスを見ながらですけど、もっと攻撃で貢献したい」

 中盤を幅広くカバーして、当たりの強さを生かす守備が印象的。池田太監督が掲げる「奪う」のコンセプトを体現する存在だ。だからこそ、攻撃面でも力をつけなければならないという危機感に突き動かされる。

 韓国戦では結局、2点目を奪えなかった。

「縦パスが入って次に関わる人数も、ボールを持っている人へ関わる人数も少ないと思います。クロスに入る人数もそうで、もっと攻撃に勢いを持ってゴールに向かっていかなければいけないと思いました」

 韓国が意外にも5バックでスペースを消しにきて、日本はテンポを失った。1点取ってもこれだから、韓国がいかに研究して後半勝負にかけてきたかがわかる。

「​​早い時間帯に1点取れて焦って攻める必要ないと感じていて、韓国もプレッシャーに来なかったから、焦って差し込んで失ってカウンターを受けるのが一番嫌でした」

 あるいは、それも韓国の狙いだったのか。無理して攻めることはないと考える展開が、攻撃に関わる選手の数を減らしたとも言える。

「はっきりと回すようにして、取りに来ないなら持ちながらスキを狙うのか、もっと人数をかけて攻撃していくのか、チームとしてもう少し狙いを持ってできればよかったかなと思います」

 後半に入って徐々に韓国が押し込み始める。起点をじわじわと高くして、ロングボールを多用してさらに前進して一発を狙いにきた。

「前半とは違って韓国がプレッシャーをかけてくる中、自分たちの足が止まってしまってボールを持った人のサポートができなくなって、正しいポジションに立てていなかったのが原因です。いい準備をして正しいポジションに立てれば、何の問題もなかったと思っています」

 暑さがあって、中2日の連戦による疲労もあった。韓国の激しさも増してきて、立つべきポジションを見失った。大きな課題だが、それがきちんと見えていることは悪くはない。

 準々決勝の相手はタイに決まった。

「オーストラリアとタイの試合を見ましたが、前に大きいフォワードがいて、しっかりハードワークする戦いでした。自分たちがテンポ良く動かして、たくさんのアイディアを出して、人数をかけてゴールに向かっていきたい」

 どれも、韓国戦で出た課題だ。それをクリアして勝利を収めれば、ワールドカップ出場権を獲得することができる。