なでしこジャパン(日本女子代表)DF熊谷紗希が、引き分けでのグループステージ首位通過に対する複雑な感情を口にした。最低限の結果は手にしたものの、開始直後に先制しながらも勝ち切れなかった試合を反省している。

上写真=この日も最終ラインを統率した熊谷。なでしこジャパンはリードを守り切れず、引き分けに終わった(写真◎AFC)

■2022年1月27日 女子アジア杯GS第3戦(インド・プネー/無観客)
日本女子 1-1 韓国女子
得点者:(日)植木理子
    (韓)ソ・ジヨン

終盤にCKから失点

「勝って終わりたかったです。前半の早い時間に良い入りから点が取れた。セットプレーからやられたところと、後半の戦い方は反省点も多いと思いますが、結果的に1位で通過できたことは、すごくよかったと思います」

 熊谷は冒頭のコメントから、収穫と課題の両面を口にした。1月27日に女子アジアカップのグループステージ第3戦で韓国と対戦した日本は、引き分けて勝ち点7で並んだものの、得失点差で上回ってグループ首位通過を決めている。

 開始わずか32秒でFW植木理子が先制点を決める素晴らしいスタートを切ったが、その後のチャンスを生かせず、1点差のままで試合は進んだ。2位通過だと準々決勝の相手が難敵のオーストラリアになる可能性が高いため(この試合の後、実際にそうなった)、「後半、韓国が(ゴールを)取りに来なければいけなくなっている状態で、長いボールを蹴ってきて、押し込まれる状況は予想して臨んだ」という。

 韓国は前線の選手もボールに圧力をかけてきたため、「相手が前から来たとき、キッカーにもっとプレッシャーをかけなければいけないところで、フリーで蹴らせてしまったところが反省点」と指摘した。攻撃についても、後半は「ボールを持ったとき、一人ひとりの準備がすごく遅かった」と感じており、「前半のように、自分たちがボールを支配できる時間をもっと長く作らないと、ということは少し選手で話し合った」と試合後の様子を明かしている。

 そうするうちに85分、CKから同点ゴール。飛び出したGK山下杏也加が味方の選手と交錯してボールに触れず、相手のシュートをゴールライン上で何とかクリアしようとしたが、混戦の中から決められた。「向こうの狙いは、そこしかなかったと思うので、セットプレーを与えないことも一つ」とポイントを挙げた熊谷は、「与えた後に、1つ目でどれだけクリアできたか」と振り返った。「事故のような失点にはなってしまいましたが、相手も自分たちも(選手が)交代した中で、マークの確認や、競る相手とミスマッチになっていないかは、もう少し自分たちで修正できたと思う」ともコメントしている。

 その後もCKのピンチがあるなど、一つ間違えば逆転される苦しい展開となるも、最後は踏ん張った。日本は1月30日の準々決勝でタイと対戦し、勝てば2023年女子ワールドカップ出場権獲得という、3連覇と並ぶ今大会の目標を達成する。熊谷は「セットプレーから失点してしまったことは反省点ですが、次につなげるという意味では、1位通過できたのでよかった」と語り、今後の戦いに目を向けていた。