AFCアジアカップを戦うなでしこジャパン(日本女子代表)は1月21日、ミャンマーとの初戦に5-0と圧勝した。バリエーション豊かなゴールの数々の中で、成宮唯が決めた日本代表初ゴールには、池田太監督が落とし込んできたコンセプトがたっぷり詰まっていた。

上写真=まずは大勝を収め、成宮唯は池田太監督とハイタッチ(写真◎AFC)

「左足は苦手なんですけど」

 池田太監督率いる新生なでしこジャパンは、「世界一を奪い返す」が最大の目的だ。世界の強豪から勝利を、ゴールを、ボールを奪うための逆算。それが成宮唯の日本代表初ゴールに表れていたのではないか。

 1月21日、女子アジアカップグループステージの初戦となったミャンマー戦で、3-0でリードした69分に成宮はピッチに送り込まれた。その、ほぼファーストプレーだった。70分、右サイドで相手にボールが渡ったときに猛然とアタックする。

「自分のサイドにボール出た瞬間に奪える距離まで詰めるのは、試合に入り込むためにもコンセプト通りに奪おうという目的でした」

 ピッチに入ってすぐのプレーだから、足も動く。内側のコースを消し、縦に誘導した。そこに清水梨紗が立ちはだかって相手のミスを誘った。

「中を切って梨紗が間に合っている状況なら、(相手の選択肢が)縦しかない限定の仕方をするとコミュニケーションを取りつつやった結果、あそこで奪えたことにつながりました。意図的にできてよかったです」

 猶本光が奪って前の菅澤優衣香へ、さらに右に出た猶本へ。このパス交換の間に、成宮は中央に向かって足を進めた。慌てることなく、スピードをあえて緩めたことがポイントだった。

「猶本選手が外に流れてくれてスペースも空いたので、サイドで持っている猶本選手から菅澤選手へのパスコースを空けつつ、そこに入ったタイミングで落とし(をもらうため)に入るのは自分のイメージ通りでした」

 ボールを奪いに出る「急」、大事なスペースを埋めない「緩」という動きのコントロールは巧みだった。猶本が内側の菅澤にパスをつけるのと同時に、成宮はスピードアップして中に潜り込んでボールを引き出し、フィニッシュへ。ペナルティーエリアの直前から左足できれいにゴール左へと送り込んだ。

「自分は両足で威力のあるシュートを打てるタイプではないので、左足だったしコースをしっかり狙いました。左足は苦手なんですけど、しっかりミートしてサイドネットに行ったので良かったです」

 ボールを奪う、ゴールを奪う、勝利を奪う。池田監督のコンセプトのコアになる部分が詰まった一発は、このチームの未来を照らす基準になるだろう。

「いい形まで来てもバーをたたく回数が多かったので、自分も含めてリラックスして足を振ったり、決めてやると気持ちで押し込むことが大事になると思います」

 ここから先のゲームでも、ゴールを奪うイメージはできている。