B組は豪州中心。タイの岡本監督も注目
グループBは、オーストラリア(11位)、タイ(38位)、フィリピン(64位)、インドネシア(94位)が同居する。実力では東京五輪でベスト4に入ったオーストラリアが抜けている。20番のサマンサ・カーは、チェルシーでプレーする万能タイプのストライカーだ。女子バロンドールの最終候補に3回連続(2018、19、21年度。2020年は投票が行なわれず)でノミネートされている。前回大会のグループリーグでは、日本から同点ゴールを奪った。
カーと3トップを形成する9番のケイトリン・フォードは、前述した越後監督の下、なでしこリーグ(マイナビベガルタ仙台レディース)でプレー経験があり、現在はアーセナルで岩渕真奈のチームメイト。オーストラリアのAFC転籍以後、この大会に6大会連続で出場することになったベテランゴールキーパーの1番、リディア・ウイリアムズもアーセナルに所属だ。今回のチームで最多キャップ(132試合)を誇る4番のクレア・ポールキンホーンは、 INAC神戸レオネッサでもプレーした。3バックと4バックを併用するチームでセンターバックを務める。
タイは今大会に参加する日本人指揮官3人のひとり、岡本三代監督が率いる。林穂之香、宝田沙織が在籍時に、セレッソ大阪堺レディースを率いていた女性指導者だ。同国と競うフィリピンには2人のWEリーガーが所属する。18番のサリナ・ボールデン(ちふれASエルフェン埼玉)は8試合で4ゴール、20番のクインリー・クエザダ(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)は18試合で9ゴールと、国際舞台で高い得点力を発揮している。
日本人指導者と、WEリーガーの決定力がグループを左右するか。日本が2位抜けの場合は、このグループの1位とベスト8で対戦する。また、日本が1位抜けの場合、このグループの3位と対戦する可能性がある。
日本(13位)の入ったグループCは最激戦区。韓国(18位)、ベトナム(32位)、ミャンマー(47位)を加えた4か国のFIFAランキング平均は27.5位。グループA、Bから、ランキング最下位国を抜いた上位3か国の平均をとっても37.7位なのだから、その数字を見ても、レベルの違いがわかるだろう。日本がオーストラリアとの早期対戦を回避するためには、1位抜けが必要。そのためには、虎視眈々と初優勝を狙う韓国を退けなければいけない。
前回、ヨルダンで開催された大会では巴戦の総得点差によるグループリーグ2位突破。ベトナムでの前々回大会も、初戦で一度は2点のビハインドを背負った。女子アジアカップは決して楽な戦いではない。準備期間自体が少なく、池田太監督にとっては厳しい条件下で迎える、初めての国際大会。そのハンデをものともせず、大会3連覇へ導いてほしい。
文◎西森彰 写真◎Getty Images