なでしこジャパン(日本女子代表)は21日にAFC女子アジアカップの初戦、ミャンマー戦を迎える。今大会がなでしこジャパンの一員として初めての大会となる成宮唯は、強い覚悟をもって臨むつもりだ。

上写真=ゴールに絡むプレーをしたいと語った成宮唯(写真◎山口高明)

得点、アシスト、位置取りで勝利を

 池田太体制になって臨んだ昨年11月の欧州遠征で、なでしこジャパンはアイスランド戦、オランダ戦とも無得点に終わった。0-2で敗れたアイスランド戦で右サイドハーフとして先発した成宮は反省を込めて「チームとしても個人的にもクオリティーの部分、とくに最後のところの質は課題を感じました」と振り返る。所属チームに戻ってからは、女子アジアカップに備えてその部分を詰める作業をするつもりでもあったという。ただ、帰国の隔離などもあり、十分にトレーニングすることができなかった。

 とはいえ、大会に向けて準備を進める中で行なわれたオンライン取材では、ポジティブだった。開幕までの限られた時間の中で、プレーの質を高めたいと話した。気持ちが前向きなのはなでしこジャパンの一員として初めて国際舞台に上がるからでもあるだろう。「初めてなでしこジャパンで大会に出るので、自分自身もそうですし、チームが残す結果に対して自分が貢献できるようにしたい。自分は前の選手(=攻撃の選手)なので、得点であったりアシストであったりで。いま得点がない中で、自分が何か貢献できるようにプレーをしたい。大会からは先につながるものをしっかり持ち帰って、アジアを取って世界を見据えた日々のトレーニングをしていきたいと思います」。成宮は、アジア経由世界行きというルートをはっきりと描いている。

 アジアの舞台は初めてではない。2011年にはU-16アジア選手権で優勝。大会MVPにも選ばれた。翌年のU-17にも出場、8強進出を果たした。しかしその後は、代表でなかなかチャンスをつかめなかった。高校卒業にベガルタ仙台レディース(当時)に入団するが、半年余りで退団。 スペランツァFC大阪高槻に移籍し、その後はジェフ千葉レディースを経て2021シーズンからINAC神戸に加入。再び代表の舞台に帰ってきた。

「高校生の時から年代別に入っていて、(JFA)アカデミーでサッカーをやっていて、目指していたのはなでしこジャパンだったんですけど、自分が思い描いていたようには。半年ですぐにチームを移籍してしまって、それが自分の一番の挫折でした」

 当時の選択について「後悔」もあると話す成宮。しかしその挫折を乗り越えるために前に進んできたことは確かだろう。I神戸で「プレーの幅を広げて、自分自身もこれまで感じたことのない手応えを感じている」という。その好調が再び代表のユニフォームに袖を通すことにもつながった。「INACから(なでしこジャパンに)4人で来ていますけど、ここで結果を出して持ち帰ることがチーム力のアップにもなる。しっかりやっていきたい」とも話した。

「海外の選手相手だと、やっぱり間合いやスピード感が違う。少しでもポジショニングをさぼると相手に詰められると思うので、日本のストロングポイントである技術の高さを出すために、簡単に相手がスピードに乗れない場所に立つとか、そういうところは私自身、意識して取り組んでいきたい」と、得点やアシストに加え、I神戸で磨いたポジショニングでチームを勝利に導きたいと語った。