なでしこジャパン(日本女子代表)は21日に女子アジアカップ初戦・ミャンマー戦に臨む。11日から国内合宿中にMF隅田凜が取材に応じた。的確な位置取りでチームを機能させ、バランサーとして力を発揮するボランチの力は大会を勝ち抜くうえで欠かせないだろう。

上写真=2018年大会に続き、女子アジアカップに臨む隅田凜(写真◎山口高明)

サッカーの考え方は成長した

 舵取り役となれる隅田凜の存在は、インドで開催される女子アジアカップに臨むチームにとって、極めて重要だろう。本人は「自分は特徴がない選手」と自身を語りつつ、「チームの中でバランスを取るとか、一つひとつのポジショニングをこまめに取って、誰よりも突き詰めてやっていきたい」と、バランサーとしての役割をはっきりと自覚している。つまりはチームに何をもたらすことができるのか、整理できているということだ。

 池田太監督体制となり、なでしこジャパンはボールを奪い切る守備を求めるようになった。ただ、むやみに前進守備を試みて相手にかわされれば、たちまちカウンターを浴びる危険をはらむ。重要なのは、タイミングの見極めだろう。その瞬間に行くべきなのか留まるべきなのか。選手間の距離などピッチ内の状況を瞬時に把握し、選択することが求められるが、隅田の長所は、そこにこそある。状況判断に優れ、バランスを取ることができるからだ。

 所属するマイナビ仙台レディースではリーダーシップを発揮し、松田岳夫監督のもとで「サポートの質」を高めたという。「攻撃の面でどうしたら前に進めるのか」についても学び、「サッカーの考え方はすごく成長した」と話す。磨いたサッカー脳とスキルを、いよいよなでしこジャパンの公式戦で発揮する機会が来た。アンダー世代で国際舞台を経験し、2018年の女子アジアカップにも出場したが、同年夏以降、昨年11月まで代表で出場機会はなかった。今回は満を持して、舞台に上がる。

「もう若くないというか。これまでは若さというか、20代前半まではそういうふうにもとらえていたんですけど、だんだんと若い選手が増えてきて、自分が中堅とかその上の立場になりました。やっぱりただ一生懸命頑張るだけじゃなくて、人として周りに憧れられる選手になりたいです」

 仙台ではキャプテンを務める。仲間に安心感を与え、的確な判断とポジショニングでチームを落ち着かせることができる隅田の持ち味が試合で生かされるたび、日本はW杯出場に、そして大会3連覇に近づくことになるだろう。