新生なでしこジャパン(日本女子代表)の最初の海外遠征として臨んでいるオランダでの日々。11月29日(現地時間)にはこのキャンプの総仕上げとして強豪オランダとのテストマッチを控えている。菅澤優衣香は東京オリンピックで不完全燃焼に終わった悔しさとともに、代表選手の誇りを持って挑んでいく。

上写真=菅澤優衣香は改めて代表チームに選ばれた感謝をかみ締めてピッチに立つ(写真◎JFA/PR)

「代表にいてできることがあると再認識した」

 2度のワールドカップ、東京オリンピックなど、多くの国際大会を経験してきたストライカーは、新生なでしこジャパンでもメンバーに選ばれた。

「監督が代わっても代表選手として呼んでいただけたことをうれしく思いますし、選手として光栄だと思います。選ばれているからには日本の代表として、日本の女子サッカーが盛り上がるようなプレーと結果を残していけたらいいと思っています」

 自らに与えられる役割は理解している。なでしこジャパンのメンバーであることの意義を、選ばれるたびに深く心に刻んできた。特に今回は悔しさを晴らす意味もある。東京オリンピックではスウェーデンに敗れてベスト8止まり、2試合に先発したものの、どちらも前半のみのプレーに終わった。「思っていたプレーが出せなくて悔しい思いが残る」ばかりだったから「それを挽回するじゃないですけど、代表にいてできることがあると再認識したので、できなかったことにまた新たにチャレンジしていかなければいけないと思っています」と決意を込める。

 池田太監督が選手たちに求めるのは『奪う』の意識。FWとしてはゴールを奪うことが大きな目標になるが、その前段でボールを奪い切る守備に貢献できれば、そのままゴールチャンスが増えることにつながると感じている。

「前からアグレッシブに守備も攻撃もチャレンジしていくスタイルなので、前線から人数をかけて奪えれば、高い位置でカウンターもできて攻撃チャンスが増えてくると思います」

 攻守にシームレスなスタイルだから、そのまま攻撃に移れば菅澤が決めるだけだ。池田監督は独自のキーワードをいくつも選手と共有していて、例えば「Xボール」という斜めのパスを重視する。

「フォワードなので一番は点を決めきることが求められていると思います。Xボールは攻撃陣が流動的に動くことでうまく使えるプレーだと思うので、なるべく止まっているだけではなくて動きながらプレーできればいいと思います」

 足を止めないアクションが「Xボール」の効果を倍増させる、という実感だ。

「最初はうまくいかないことがあるけれど、積み上げていければ」

 新チームが発足したばかりだから、攻守ともにエラーを前向きに吸収することのできる精神状態にある。11月25日(現地時間)のアイスランド戦では出番はなかったが、29日(同)のオランダ戦でのプレーに期待が集まる。169センチのサイズを生かしたパワー自慢のポストプレーとフィニッシュワークで、そして「流動性」で、強豪に挑む。