新生なでしこジャパンが、初の海外遠征でいよいよオランダと戦う。東京オリンピックでもベスト8に進んだヨーロッパの強豪を相手に、どう戦うのか。センターバックの南萌華はアイスランドとの親善試合で出た課題を、実戦の場で解決していくつもりだ。

上写真=南萌華は「目の前の相手に負けないことを全力で表現したい」とオランダ戦へ意気込む(写真◎JFA/PR)

「追いかけているだけではなくて」

 池田太監督が就任して初めての海外遠征となる今回のオランダキャンプでは、11月25日(現地時間)にアイスランドと対戦して0-2で敗れた。警戒していたカウンターから2発を食らった黒星を、守備の要であるセンターバックの南萌華は未来への糧にするつもりだ。

「改めて守備の確認ができました。チャレンジするところはしながらやっていきたい」

『奪う』のキーフレーズでこのチームの共通理解を示す池田監督の下、守備ではしっかりボールを奪いきることを最優先にしている。勢いを持って懐に飛び込む反面、十分な準備ができないまま入れ替わられたらピンチになるリスクも内在する。だからといって、立ち止まって見ているだけでは戦えない。

「守備のスイッチを入れるときに人数は足りているか、後ろからの声が大事になってくると思います。最終ライン全体で守備の声を発信していきながら、私たちがコントロールする気持ちでうるさいぐらい声を出してやっていきたい」

 体格で欧米のスケールに及ばない日本としては、勢いを持って飛び込みつつ連動してセカンドボールを拾う必要がある。そこでタイミングがずれれば、その瞬間にピンチになる。合わせていくために「後ろの声は天の声」と言われるが、南は「後ろのうるさい声は天の声」にするつもりだ。

 アイスランド戦では南と三宅史織がセンターバックでコンビを組んだが、このポジションには熊谷紗希がいる。2011年ワールドカップの世界チャンピオンの一員にして、ヨーロッパでの豊富な経験を持つ頼れるスターDF。

「幼い頃からあこがれの選手で、一緒にできているのは光栄ですし、紗希さんとできる時間は少ないので大切にしないと」

 代表でしかともに戦えないから、できるだけ学びたい意欲があふれる。

「一緒にできているからには、頼るだけではなくて吸収しながら私自身も成長しなければと毎回代表で会うたびに思っています。追いかけているだけではなくて、紗希さんと同じレベルに達することができるようにやっていかなければと思っています」

 そのために「泥臭くやるしかない」と、最大の持ち味である粘り強い守備で戦うつもりだ。今夜、誰よりも「うるさく」してオランダを止めてみせる。