長野風花は、およそ3年ぶりになでしこジャパン(日本女子代表)でプレーした。池田太監督の初陣となった25日のアイスランド戦で、ボランチとして先発フル出場。戦況を見ながらプレーしたが、チームは0-2で敗れることになった。試合翌日、オンラインで取材に応じ、自身とチームの課題に言及した。

上写真=アイスランド戦で3年ぶりに代表選手としてプレーした長野風花(写真◎JFA)

代表で試合に出ることは誇り

 25日のアイスランド戦が久々の代表戦となった。A代表としては2018年11月以来だ。その実績を考えれば、不思議の気がするかもしれない。2014年のU-17女子W杯では最年少ながら5試合すべて出場して優勝の原動力となり、18年のU-20女子W杯では10番を背負って優勝に貢献。年代別代表で2度、世界の頂点を経験しており、なでしこジャパンでの活躍も期待されていた。

 だが、その18年以来、代表でプレーする機会はなし。今季からマイナビ仙台に加入し、そこでの活躍が認められ、さらには新チームのスタートのタイミングということもあり、3年ぶりに代表に復帰となった。指揮官がU-20女子W杯を制した際にともに戦った池田監督であることはもちろん、大きかっただろう。

「本当に、代表のユニフォームを着て試合に出られるのはとてもうれしく思いますし、誇りに思いますけど、過去のことよりも今に集中して、目の前の試合を戦うだけ」 

 アイスランド戦で長野はドイスボランチの一角を担い、先発フル出場。戦況に応じてポジションを変えつつ、ボールに触れてリズムもつくった。だが、結果は0-2の敗戦。新チームのコンセプトである「ボール奪う意識」の向上などポジティブな面も多かったものの、長野自身は課題にも言及した。

「失点もそうですけど、得点を奪えなかったことについてはもっともっとチームとして合わせていかないといけないと思います。攻撃の部分では、なかなか相手の深いところに入っていけなかった。相手の前ではボールを回せるけど、という部分があった。相手選手はチャレンジというか、チーム全体で認識して勝負どころではガッと、スイッチを入れてやってきました。私たちはそういうスイッチを入れられなかった。そこが足りなかった」

 ボール保持率は相手にまさったものの、長野の指摘通り、相手のブロックの外側をなぞるようにパスをつないだ。改めて感じたのは「チャレンジ」の必要性だという。「自分たちがボールを持っているときに、ただ相手の前で回すのではなく、ドリブルで進入していったり、相手のスキを突くパスを、その一瞬を逃さずに出す。もっと突き詰めてやることが必要だなと思いました」。長野自身は52分にボックス左に進入し、相手をかわし切る前にシュートを放つなど、変化を加えようと努めたが、大きな変化を生むには至らなかった。今回の試合までに全体で練習できたのはわずかな時間で、選手間で意識をすり合わせることができなかったは事実だ。今後もそれほど時間が取れない中で、来年1月には女子W杯出場権のかかった女子アジアカップに臨む。その限られた時間の中で、今回の試合で出た課題を把握し、向き合い、修正していくことが重要になる。次戦のオランダ戦に向けて、長野はこう話した。

「守備の部分でのプレッシャーのかけ方だったり、ゴール前でのアイディアについては課題が出たので、その課題をオランダ戦までの時間で修正していきたい。試合に出るチャンスがあれば、もっと自分の良さを出せるように全力でプレーしていきたい」

 アイスランド戦のプレーぶり、そして取材時の発言は、なでしこジャパンでプレーする覚悟を感じさせるものだった。次戦のオランダ戦は中3日で臨む試合でもあり、前回フル出場している長野に出番があるかは分からない。ただ、長野は次なる戦いをしっかり見据え、その先の戦いをもしっかり考えて準備を進めていくつもりだ。