上写真=小林里歌子はアイスランド戦で敗れたが「全部が全部悪かったわけではなくて」(写真◎スクリーンショット)
「感覚をすり合わせていけば自然に…」
所属する日テレ・東京ヴェルディベレーザの仲間である植木理子と2トップを組んでピッチに飛び出していった小林里歌子。果敢にゴールを狙う姿勢がストライカーらしかった。
22分、このチームの基本コンセプトである「奪う」を体現してハイプレス、マイボールにしてシュートを放った。32分には右からの清水梨沙のクロスを受けてフィニッシュ、40分にも右に出て深い位置を取った長谷川唯の折り返しにヘッドで合わせた。
しかし、実らなかった。
「2トップの関係性で、お互いに見て(ポジションが)かぶっていたところもあるし、逆に距離が遠かったところもありました」
2人の関係がうまくいったのが上の22分のシーンで、植木と小林で挟み込むようにして奪ってシュートにつなげている。一方で、ほかの選手との関係にも課題を指摘する。
「ボランチやサイドの選手と関わりながら、スペースはあったので、もう少し足元で受けられたし絡んでいけるシーンもありました」
海外組を組み込んだトレーニングの時間は少なかった。すり合わせはこれからだが、中央を堅く閉めてきた相手の守備陣形にも、スペースは見えていた。それをどう有効に使うか。
「チームとしてボールを奪ったあと、フリーになったときに裏へのアクションはあるけれど、相手を見て止まったり足元に受けたりというところも必要だと感じました」
アグレッシブに前へ、というコンセプトを遂行する上で、それとは別の方法も織り交ぜることによって効果が増すというピッチの上での実感だ。
上記のチャンスで言えば、32分のシュートシーンがそれに当たるだろうか。猶本光が右に展開、受けた清水は深いところまで進む前に小林を見つけてシュート性のクロスを届けた。小林はこのとき、クロスに飛び込む日本の選手を警戒して下がり始めた相手のDFラインの動きとは逆に、そこに止まることでプレーエリアを確保した。清水もそこを見逃さなかった。
「前(攻撃陣)は感覚でやる選手も多いですし、そこはすり合わせというか、チームとして統一した流れにプラスして、感覚をすり合わせていけば自然に連動した攻撃が出ると思っています」
「アグレッシブ」と「止まる」という相反するように見える要素を組み合わせて、小林は新しいなでしこジャパンて欠かせない存在になるつもりだ。